前回は、不動産賃貸業の法人化において、「所有型」「株式会社」を推奨する理由を取り上げました。今回は、相続対策として活用する方法を見ていきます。

子どもの数だけ会社をつくり、時期がきたら継承させる

相続を考えた場合、いちばんいいのは子どもの数だけ会社をつくり、時期がきたらその会社を子どもたちに継承させていくというやりかただろう。

 

先に大家さん業をはじめるときは目標をたてようと書いたが、そのとき同時に会社をつくるのだ。そしてパートナーとなる不動産会社を選び銀行から融資をとりつけ目標に向かってマンション・アパートの経営をはじめることだ。

 

私はマンション・アパートの経営の話を頼まれると、よくこの会社をコップにたとえることがある。はじめから大きさの決まったコップを用意しておき、そのコップに自分の気に入ったマンション・アパートをゆっくりと満たしていく。それが私の不動産投資のもっともシンプルなイメージだ。

 

そして、長男のために用意したコップがいっぱいになったら、長女のために次のコップを用意する。そんな感じで増やしていくのだ。

「相続税逃れ」とみなされないためのポイント

こうしてつくる会社のもち株や出資分はできるかぎり最初から子どもの名義にしておきたい。だが、実際には税務当局から「法人をつかった相続税逃れ」とみなされるおそれがあるので、注意が必要だ。

 

このあたりは、税務上も非常に微妙な話になるので、それぞれのケースについて税理士との相談は欠かせない。やはり大家さんをやると決めたときから税理士さんとのつき合いははじめておいた方がいい。巷には相続と不動産について山ほど本が出ているが、本連載もふくめ、それらの知識を鵜呑みにして失敗しても責任はとってくれないのだ。

 

相続を意識して会社をつくる際に、もっとも注意したいのは、株式を子ども名義にしたり、子どもが出資して社員となる(合同会社)ような場合に、親が安易に資金をださないことだ。会社をつくる際の出資金について注意する点を図表にまとめておいた。

 

[図表]会社設立の際、注意する点はここ

 

本連載は、2017年5月刊行の書籍『年収400万円でも大家さんになれる 工務店社長が教える5つの流儀』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

年収400万円でも大家さんになれる 工務店社長が教える5つの流儀

年収400万円でも大家さんになれる 工務店社長が教える5つの流儀

町田 泰次

幻冬舎メディアコンサルティング

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