前回は、不動産賃貸業の法人化を相続対策として活用する方法を取り上げました。今回は、賃貸物件のプランニングとして「角部屋」にこだわるべき理由を見ていきます。

南向きにこだわると「羊羹型」のよくある間取りに

マンションやアパートのプランには、ひとつの神話がある。

 

「窓は南向きで、陽当たり良好の部屋ほど人気がある」というものだ。東向きの部屋はまだいいが、西向きは夏に西日がきついから人気が低い。北向きは論外というのだ。

 

しかし、単身者向けのマンション・アパート経営をやってきた私は、こうした神話を真っ向から否定してきた。そのおかげで土地の入手からはじめる賃貸マンション・アパートのプランニングでは、かなり自由がきくようになってきた。

 

とにかく南向きの窓のある部屋を多くつくろうとすると、どうしても敷地の形状が決まってくる。道を北側に背負った細長い土地だ。ここに南向きの窓をもった1LDKをつくろうとすると、だれがやってもほとんど同じ間取りになる。いわゆる羊羹型の間取りだ。隣室とは壁1枚になるので騒音面ではあまり快適とはいえないし、北側にむき出しの通路は風雨にさらされ、入居者も快適ではない。

「角部屋」を意識した設計で、多くの問題が解決

こうした羊羹型間取りの欠点は、すべて「南向きがベスト」という神話からきている。これにこだわらず、人のやらないようなプランニングをしたら多くの問題が解決したのだ。

 

それは前にも述べたように角部屋を意識したプランニングだ。こうするとどんな敷地にも無理なく各部屋を配置することができる。南向きにこだわらず、その敷地の形に合わせて部屋を配置していくと、隣室同士の境界も、うまく水回りがきたり、収納スペースをはさむかたちになったりと各部屋の遮音性が高まる場合もあって驚く。

 

また角部屋を意識してプランニングをすると、自然に共用部分、つまり廊下や階段は建物の内部にくる。当然暗くなるが、いまはLED照明が安価につかえるので、24時間つけっぱなしにしておいても電気代は以前とそんなにかわらない。そのうえ風雨にさらされることがなくなるので、修繕や清掃の手間が減った。

本連載は、2017年5月刊行の書籍『年収400万円でも大家さんになれる 工務店社長が教える5つの流儀』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

年収400万円でも大家さんになれる 工務店社長が教える5つの流儀

年収400万円でも大家さんになれる 工務店社長が教える5つの流儀

町田 泰次

幻冬舎メディアコンサルティング

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