前回は、内覧に来た入居希望者を逃さない「素敵な共用部」の作り方を説明しました。今回は、設置すると入居希望者が増える「共用部の設備」を紹介します。

ネット通販全盛の今は「宅配ボックス」が人気

ところで部屋の内部だけでなく、ポータルサイトのチェックボックスには共用部の設備欄もあり、共用部の設備をどう充実させていくかは、ネット集客を意識した戦略をたてる上で重要だ。

 

たとえばいま共用設備で入居希望者に人気が高いのは、なんといっても宅配ボックスだ。20代から30代の単身者は、会社の働き頭にもなっていて残業も多く、平日に荷物が届いても受け取れないことが多い。またこの年代は通信販売で買い物をすることも多いので、宅配ボックスの有無は、最終的な判断に大きく影響する。

 

60センチ×45センチの大きさでひとつ5万円から6万円だから、それほど大きな出費ではない。経験的にいうとだいたい10室に1戸の割合で設置するのがいいようだ。

 

ただ宅配便業界から流れてくる情報では、いまや宅配ボックスは奪い合いだという。再配達を避けたいのはどの宅配便のドライバーも同じだ。最近ではアマゾンが日用品を一個単位から組み合わせて宅配してくれるサービスをはじめた。このサービスを利用するとトイレットペーパーや洗剤などの日用品をコンビニ感覚で買えるようになる。帰りの遅い単身者にとって願ってもないサービスだ。そうなるとネックは宅配ボックス。各戸にあらかじめ宅配ボックスを備えた賃貸住宅が出てくる日も遠くないかもしれない。

 

[図表]宅配ボックス

 

ふた付きダストボックス設置で「24時間ゴミ出し化」

水廻りに使われるダイノックシート(第9回参照)は、共用部でも大活躍だ。とくに汚れやすいエレベーターの壁面にはると、抗菌性があって汚れがつきにくい。張り替えや補修も簡単なので引越しなどで傷がつきやすいエレベーターには最適の素材だ。また共用部の廊下には専用の長尺シートを敷くと、傷がつきにくく、交換すれば美観を保ちやすい。

 

[図表]

 

さらに、汚れていたり傷んだままだと印象が悪い室名札や郵便受(ポスト)も定期的に交換するといい。錆びた郵便受けにチラシやダイレクトメールがあふれている光景は、管理ができていない賃貸住宅の典型だ。こんなふうにならないように気をつけたいものだ。

 

単身者の多い賃貸住宅で問題になるのがゴミの管理だ。分別ができなかったり、ゴミの種類によって違う「ゴミ出し日」を守れないといったように、居住者に問題がある場合も多いが、そもそもゴミ置き場がきちんと設置されていなかったり、ゴミ置き場が破損・汚損しているなど、大家さんの責任を問われる場面も少なくない。ゴミ置き場の管理・修繕は最優先で行うべきだ。またきちんとふたの閉まるダストボックスを設置し「24時間ゴミ出し可」とするとネット上でもアピールできる。

 

[図表2]ダストボックス

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町田 泰次

幻冬舎メディアコンサルティング

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