今回は、株価が税務上の時価と乖離した場合の課税上の問題について見ていきます。※本連載では、島津会計税理士法人東京事務所長、事業承継コンサルティング株式会社代表取締役で、公認会計士/税理士として活躍する岸田康雄氏が、中小企業経営者のための「親族外」事業承継の進め方を説明します。

売り手・買い手は個人か法人か?

税務上の時価より高すぎたり低すぎたりすると課税上の問題が生じる。

 

(1)売り手が個人の場合

個人が税務上の時価を著しく上回る取引価額で株式譲渡した場合、時価を上回る部分につき、買い手が個人の場合は贈与税、買い手が法人の場合は所得税(賞与、給与、退職金)が課される。

 

逆に、著しく下回る取引価額で株式譲渡した場合、買い手が法人の場合のみ「みなし譲渡(所得税法59)」の課税がある。なお、買い手が個人の場合には、特に税務上の問題はない。

 

(2)買い手が個人の場合

個人が税務上の時価を著しく上回る取引価額で株式譲受けした場合、時価を上回る部分について、買い手が個人の場合は贈与したこと、買い手が法人の場合は寄附金したこととして取り扱われるが、特に税務上の問題はない。

 

逆に、著しく下回る取引価額で株式譲受けした場合、時価を下回る部分につき、売り手が個人の場合はみなし贈与(相続税法7とされ、売り手が法人の場合は所得税(賞与、給与、退職金)の課税がある。

売り手・買い手が法人の場合は・・・

(3)売り手が法人の場合

法人が税務上の時価を著しく上回る取引価額で株式譲渡した場合、買い手が個人・法人いずれの場合も時価を上回る部分につき受贈益課税がある。

 

逆に、著しく下回る取引価額で株式譲渡した場合、下回る部分が譲渡益とされ、法人税法22条2項よる時価課税がある。同時に下回る部分について買い手に対する賞与、給与、退職金の支払いとして取り扱われる。

 

法人税法22条2項(各事業年度の所得の金額の計算)

 

内国法人の各事業年度の所得の金額は、当該事業年度の益金の額から当該事業年度の損金の額を控除した金額とする。

 

2 内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の益金の額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、資産の販売、有償又は無償による資産の譲渡又は役務の提供、無償による資産の譲受けその他の取引で資本等取引以外のものに係る当該事業年度の収益の額とする。

 

(以下省略)

 

(4)買い手が法人の場合

法人が税務上の時価を著しく上回る取引価額で株式譲受けした場合、時価を上回る部分については、買い手が個人の場合は賞与、給与、退職金の支払い、買い手が法人の場合は寄附金として取り扱われるが、特に税務上の問題はない。

 

逆に、著しく下回る取引価額で株式譲受した場合、時価を下回る部分につき、売り手が個人・法人いずれの場合も受贈益課税がある。

 

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