会社の売却・・・買い手候補として「中国企業」をどう見るか?

今回は、会社の売却先として「中国企業」をどう評価すべきか考察します。※本連載では、島津会計税理士法人東京事務所長、事業承継コンサルティング株式会社代表取締役で、公認会計士/税理士として活躍する岸田康雄氏が、中小企業経営者のための「親族外」事業承継の進め方を説明します。

中国企業が求めるのは、技術などの「無形資産」

近年のクロスボーダーM&Aを見ていると、欧米企業による日本企業の買収案件が減り、中国企業による日本企業の買収が増えてきている。

 

中国企業が日本企業を買収するのは、日本企業が持っている経営資源を獲得し、自らの事業活動で活用したいと考えるからである。

 

[図表]中国企業の対日M&A件数の推移

出所:レコフデータ「日本における最近のM&A動向について」2010年M&A研究会資料
出所:レコフデータ「日本における最近のM&A動向について」2010年M&A研究会資料

 

中国企業が求める経営資源は、製造業の優れた技術・ノウハウ、競争力のあるブランド、きめ細やかなサービスなどの無形資産である。

 

ただし、中国企業は、買収によって獲得した技術・ノウハウやブランド等を活用して、日本市場で事業を展開しようとは考えない。日本企業の経営資源を活用して、中国国内や海外において短期間で売上を伸ばすこと、あるいは、世界規模で勝ち組になることを狙う。それゆえ、日本における販路を買うようなM&Aを行うケースは少ない。

 

従業員の転籍先があるのなら、有力な選択肢の一つ

中国企業が必要とするものは、主として無形資産であり、有形資産は必要としない。

 

そのため、工場など製造部門については、研究開発部門の従業員だけは継続雇用しようとするが、工場の作業員、土地や建物といった固定資産は必要とせず、最新鋭の機械設備は中国本土へ持ち帰ってしまう。買収後には日本の工場を閉鎖し、コスト競争力の高い中国本土の工場へ製造工程をそっくり移管すること予定する。

 

そのため、中国企業は買収後に大規模な人員削減を取引条件として提示するケースが多い。この点、日本企業は従業員の雇用を大切にする会社が多く、中国企業との交渉は難航する。

 

中国企業は日本企業への買収意欲が高いため、高い売却価額が期待できる買い手である。しかし、従業員の継続雇用を期待することができない。したがって、従業員の転籍先を見つけることができるような場合であれば、中国企業へ買収提案を持ち込むことも有力な選択肢の一つとなるのではないか。

島津会計税理士法人東京事務所長
事業承継コンサルティング株式会社代表取締役 公認会計士/税理士

一橋大学大学院商学研究科修了(会計学及び経営学修士)。 公認会計士、税理士、中小企業診断士、国際公認投資アナリスト(日本証券アナリスト協会検定会員)。日本公認会計士協会経営研究調査会「事業承継専門部会」委員。
中央青山監査法人(PricewaterhouseCoopers)にて会計監査及び財務デュー・ディリジェンス業務に従事。その後、メリルリンチ日本証券プリンシパル・インベストメント部門(不動産投資)、SMBC日興証券企業情報本部(中小企業オーナー向け事業承継コンサルティング業務)、みずほ証券グローバル投資銀行部門(M&Aアドバイザリー業務)に在籍し、中小企業オーナーの相続対策から上場企業のM&Aまで、100件を超える事業承継と組織再編のアドバイスを行った。

WEBサイト https://jigyohikitsugi.com/

著者紹介

連載中小企業経営者のための「親族外」事業承継の進め方

 

 

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