前回は、企業の経営課題の洗い出しに不可欠な「内外環境」の分析の方法として、「SWOT分析・5フォース分析」の概要を取り上げました。今回は、経営計画の作成に不可欠な「経営上の問題点」の探し方を見ていきます。

経営課題は的確に導き出せてこそ、解決が可能に

経営課題の抽出は、経営計画をまとめる中で最も核となる作業といえます。経営課題を的確に導き出すことができてはじめて、その解決が可能となるからです。

 

この作業で第一に押さえておくべき点は、経営課題はあくまでも「要因」であるということです。たとえば「売上の低迷」や「利益の鈍化」は単なる結果に過ぎません。「マーケットが縮小傾向」「主要得意先が不調」「生産管理が徹底できずムダな外注が多い」などが経営課題にあたります。

経営上の問題は必ず「数字」となって現れる

では、経営課題を導き出すためには、どのような方法を取ればよいのでしょうか。

 

まず、経営上の問題点は必ず最終的に数字となって現れます。

 

そこで、過去10年の財務諸表を用意して、各年の売上や利益、変動比率などの数字を比較してみることをお勧めします。「この年の変動比率は例年に比べて悪いな」など気になったところがあれば、そこに改善すべきポイントが潜んでいるはずです。

 

また、見積もり、受注、出荷・・・という一連の業務フローを細かく見直し、業務を一個一個分解していけば、「見積もりがあまい」「この工程にボトルネックがある」などの経営課題に気づくことができます。

 

さらに、幹部や従業員にざっくばらんに「この会社の課題や改善すべき点はどこか」を尋ねてみるのも有効です。日々の業務の中で、みなそれぞれに思うところが必ずあるはずですから、そうした声を拾い上げて一つにまとめ、解決すべき問題を見いだすことも経営者としての重要な仕事です。

 

個々の経営課題への具体的な取り組み方は、ケースごとに異なります。複数の経営課題がある場合にはどれから取り組むのか――経営課題の優先順位は「取り組みやすさ」と「問題の重要度」によって自ずと決まってくるはずです。

 

また、中には「お客さんとの関係上、どうしても目をつぶらざるを得ない」などの理由から、現状では解決が困難な経営課題もあるでしょう。そのような課題については、いたずらにこだわっても仕方がありません。とりあえずは判断を保留し、折を見て改めて対応を検討することをお勧めします。

「親族内」次期社長のための失敗しない事業承継ガイド

「親族内」次期社長のための失敗しない事業承継ガイド

大磯 毅/中山 昌則

幻冬舎メディアコンサルティング

戦後70年を迎え、多くの中小企業に降りかかっているのが「事業承継」の問題です。 しかし、現社長のなかには景気の低迷、適当な人材の不在などの理由から廃業を考える人が少なくありません。また、社長の息子や親族などの後継…

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録
会員向けセミナーの一覧