経営課題は的確に導き出せてこそ、解決が可能に
経営課題の抽出は、経営計画をまとめる中で最も核となる作業といえます。経営課題を的確に導き出すことができてはじめて、その解決が可能となるからです。
この作業で第一に押さえておくべき点は、経営課題はあくまでも「要因」であるということです。たとえば「売上の低迷」や「利益の鈍化」は単なる結果に過ぎません。「マーケットが縮小傾向」「主要得意先が不調」「生産管理が徹底できずムダな外注が多い」などが経営課題にあたります。
経営上の問題は必ず「数字」となって現れる
では、経営課題を導き出すためには、どのような方法を取ればよいのでしょうか。
まず、経営上の問題点は必ず最終的に数字となって現れます。
そこで、過去10年の財務諸表を用意して、各年の売上や利益、変動比率などの数字を比較してみることをお勧めします。「この年の変動比率は例年に比べて悪いな」など気になったところがあれば、そこに改善すべきポイントが潜んでいるはずです。
また、見積もり、受注、出荷・・・という一連の業務フローを細かく見直し、業務を一個一個分解していけば、「見積もりがあまい」「この工程にボトルネックがある」などの経営課題に気づくことができます。
さらに、幹部や従業員にざっくばらんに「この会社の課題や改善すべき点はどこか」を尋ねてみるのも有効です。日々の業務の中で、みなそれぞれに思うところが必ずあるはずですから、そうした声を拾い上げて一つにまとめ、解決すべき問題を見いだすことも経営者としての重要な仕事です。
個々の経営課題への具体的な取り組み方は、ケースごとに異なります。複数の経営課題がある場合にはどれから取り組むのか――経営課題の優先順位は「取り組みやすさ」と「問題の重要度」によって自ずと決まってくるはずです。
また、中には「お客さんとの関係上、どうしても目をつぶらざるを得ない」などの理由から、現状では解決が困難な経営課題もあるでしょう。そのような課題については、いたずらにこだわっても仕方がありません。とりあえずは判断を保留し、折を見て改めて対応を検討することをお勧めします。