
前回は、マーケット分析で不可欠な「自社の強みの明確化」の事例を紹介しました。今回は、ビジネスモデルを分析を通して、過去の成功体験をきっぱり手放すことの大切さを見ていきます。
過去の成功体験が「利益低迷の原因」に!?
ビジネスモデルを分析する際には、自社の現状が過去の成功体験にとらわれていないかどうかを意識することも大切です。
売上、利益が減少し続けている企業に共通している原因の一つとして「成功体験から脱却できない」という点があげられます。
典型的な例をあげると、ホテル・旅館業では、かつて社員旅行が盛んだった頃への思い入れが今も強く残っているところがあります。「入れ替わり立ち替わりに宿泊客がバスでどっとやってきて、盛大な宴会を開き、ふんだんにお金を落としてくれた。きっとまたああいう良い時代がくるだろう」などというように――。
世代交代を機に、次の時代を見据えた戦略への移行を
今は、個人旅行が増えて社内旅行は少なくなっています。また、予約の仕方も電話ではなくインターネットが当たり前です。そのように時代がどんどん変わっているのに適応できていないホテル、旅館の経営者は少なくありません。
先代がもし、このように従来のビジネスモデルを踏襲することにこだわり続けていたために業績が悪化しているのであれば、新社長への世代交代は変革を行う大きなチャンスです。過去の成功体験はきれいさっぱり忘れて、次の時代を見据えた戦略を前向きに打ち出していきましょう。