前回は、米国LLC(Limited Liability Company)を利用した海外不動産投資について説明しました。今回は、外貨金融資産を増加させている個人投資家の現状について見ていきます。

日銀の資金循環統計から見ても外貨資産増加は明らか

日銀の資金循環統計の2014年度第1四半期速報によると、2014年3月末時点で、日本の外貨建て資産保有額は40兆5000億円でした。これは2012年6月末時点の32兆9000億円、2013年3月末時点の37兆5000億円から大きく増加しています。

 

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具体的に見ると、外貨預金は2013年3月末時点の6兆1000億円から2014年3月末時点では5兆9000億円に減っています。外貨建て投資信託は。2012年6月末時点の21兆5000億円から2014年3月末には25兆8000億円へと大きく増加し、外貨建て対外証券投資も2012年6月末時点の5兆7000億円から2014年3月末には8兆8000億円へと大幅増加です。

 

この数字から、個人の資産家が日本円ではなく外貨金融資産を増加させていることがわかります。とはいえ、外貨預金は日本の銀行や外国銀行の日本支店で預金できますし、外貨建て投資信託も日本の証券会社で購入が可能です。

税務上の非居住者となり、海外で投資していれば・・・

ただし、税務上の観点から見れば、このような日本国内にある外貨預金、外貨建て投資信託への課税方法と、日本以外の外国銀行口座にある預金や、外国証券会社の管理口座にある外貨建て投資信託では課税方法が変わってきます。もちろん日本を出国して税務上の非居住者となり、海外で金融商品に投資していれば、日本での所得税はかかりません。

 

ちなみに、富裕層の海外移住や所得減によって、実際に自治体の税収にも影響が出ているようです。高級住宅街の麻布など多くの富裕層が住む東京都港区は、歳入の約6割を個人が納める特別区民税が占めています。

 

たとえば、同区に住む富裕層の男性が、経営していた会社を売却し、その年の末にシンガポールに移住しました。この男性はその年に数十億円の収入があったわけですが、翌年1月1日の時点にはその区に居住していなかったので住民税はかかりません。結局、男性の海外移住によって港区の税収は2億円程度減るとみられています(週刊エコノミスト2013年2月26日号)。

 

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次回は国際税務の観点から、個人の税金について基本点を押さえていきます。個人に課税される税金は、大別して所得税と相続税に分けられますので、それぞれの課税根拠について解説していきます。

 

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本連載は、2014年10月1日刊行の書籍『究極のグローバル節税』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。
本連載の内容に関しては正確性を期していますが、内容について保証するものではございません。取引等の最終判断に関しては、税理士または税務署に確認するなどして、ご自身の判断でお願いいたします。

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