預金の場合はまず現地で源泉税のかからない国を選ぶ
本連載の第16、17、18回では、個人の居住者・非居住者の税金のかかり方の違いと、日本の居住者として海外投資をした場合の課税関係について説明しました。今回は、どのようにすれば節税が図れるかについて考えます。
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1.外貨預金の利子への課税
外国の銀行に直接預金することを前提とすれば、まず現地で非居住者の預金利子に源泉税がかからない国を選ぶ必要があります。シンガポールや米国は原則それに当たります。一方、源泉税がかかる国の預金、たとえば豪ドル預金などの利子については、日本で確定申告する際に海外での税金分を日本の税金から控除できます。これを外国税額控除といいます。
満期の来た定期預金を預け替えする際、たとえば、当初1USドル=90円だったものが100円になっていても、同じUSドル建て預金のままであれば、元本についての為替差益を所得計上する必要はありません。しかしながら他の通貨に預け替えする場合は、為替差益の所得計上が必要です。
2.外国株式の配当金
配当金が多く、ほかに損益通算できる損失(たとえば外国不動産所得の損失など)がある場合、総合課税を選べば税金が減ります。そうでない場合は、申告分離課税のほうが有利でしょう。外国非上場株式の配当は、10万円以下の配当なら申告不要です。
3.外国株式の譲渡益
日本で申告分離による課税となり、申告時に外国税額控除も行えます。ただし、外国でのキャピタルゲインであれば、香港、米国、アイルランド、スイスなどは現地では非課税になります。
築60〜70年の木造物件でも賃貸に出せる米国不動産
4.国外不動産の賃貸収入
たとえば、米国の中古不動産であれば、木造の築60~70年でも十分に賃貸に出せる物件があります。また日本と違って、建物の価格割合が物件の70~90%を占めます。日本の税法の減価償却の耐用年数は、中古建物の場合は年数が短縮され、木造住宅建物なら4年、レンガ・石造なら7年になります。したがって、減価償却が多く計上され、日本での不動産所得は損失となり、他の総合課税の所得、たとえば給与や総合課税の配当所得と損益通算され、所得税の還付が受けられます。
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5.国外不動産の譲渡益
不動産の譲渡益は通常、その不動産の所在地国に課税権がありますので、外国人投資家は現地で譲渡益の納税申告が必要となります。ちなみに、イギリスは現在、非居住者の不動産譲渡益は非課税で固定資産税もかかりません。