前回は、個人の海外金融商品投資に対する課税内容について説明しました。今回は、海外不動産の賃貸収入や、その売却時にかかる税金について見ていきます。

USドル建ての不動産所得は日本円に換算して計算する

前回に引き続き、具体的な金融商品に日本居住者が投資した場合にかかる、個人の税金について見ていきます。

 

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5.国外不動産からの賃貸収入

総合課税の不動産所得として課税されます。国内不動産の賃貸所得と同じ課税方法となります。相違点は、たとえば米国の賃貸不動産を購入した場合であれば、家賃はUSドルですし、不動産そのものもUSドルで買うわけですから、USドル建ての不動産所得を日本円に換算する必要があるという点です。

 

この場合、不動産収入と経費はTTMで換算しますが、毎年継続することを条件に、不動産収入はTTB、不動産経費はTTSを利用することもできます。減価償却は建物の取得日のTTBで計算し、借入金の金利や建物の保険料などは発生日のTTSで換算します。

 

ところで、米国の賃貸不動産の米国での不動産所得の申告については、日本居住者は米国から見て非居住者ですから、賃料の30%の源泉徴収で課税が終了するか、日本と同じように確定申告するかのどちらかを選択できます。通常は、確定申告のほうが有利です。申告すれば、すでに支払った源泉税と最終所得税が精算されます。米国で納めた所得税は、日本で不動産所得を申告し納税する際に控除されます。

不動産譲渡による為替差損益は譲渡所得に含める

6.国外不動産の譲渡益
これも日本国内の不動産の売却と同じように課税対象になります。取得した日以後5年以内の譲渡は短期譲渡になり、譲渡益の税率は39.63%です。5年超の場合は長期譲渡になり、税率は20.315%となります。

 

また為替換算の必要があり、売却額と買入額はそれぞれTTMで換算します。円安または円高になってから不動産を譲渡すれば為替差損益が出ますが、その差損益はすべて譲渡所得に含めてよく、区分する必要はありません。

 

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賃貸不動産と同じように、米国の不動産であれば米国で所得申告を行わなければなりません。米国税法では、非居住者が米国不動産を売った場合、売却額の10%の源泉税が徴収されます。この税金も米国で所得の申告時にすでに支払った源泉税と最終の所得税分が精算されます。

 

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