今回は、理想の暮らしを実現するための「必要経費」を算出する方法を紹介します。※本連載は、終活コンサルタントとして活躍する安藤信平氏の著書、『ファイナンシャルプランナーが教える終活デザインブック』(合同フォレスト)の中から一部を抜粋し、老後に必要なお金と準備のポイントを見ていきます。

素直な気持ちになって、やりたいことを挙げてみる

(1)やりたいことのリストアップ

 

いまの財布の中身、つまり家計の現状把握ができました。次は、理想とする暮らし方や、やりたいことのリストアップです。

 

自宅の買い替えや海外移住といった大きなイベントから、さまざまな趣味に関することまで、これからやってみたいことを思いつくまま書き出してください。何年後に車を買い替えるといったことも入ります。

 

予算も考えて最初から無理と控えめに考えず、ここでは自分の気持ちに素直になってやりたいことを挙げてみてください。それに対して、インターネットや雑誌などの資料から情報収集をして、一つひとつのイベントの予算を見積もります。皆さんの夢の値段を想定しチェックするのです。

 

人生には夢だけではなく、どうしてもかけなければならないイベント費があります。子どもの進学や独立、結婚、孫の誕生や家のリフォーム、親の介護やお墓の購入など、いろいろなことが考えられます。

 

これらすべてのことを、以下の図表1のライフイベント表に書き込みます。いつごろ実行したいか、家族のイベント費などは時期がわからないので想定になります。費用も将来の価格は不確実なので概算と捉え、予定も予算も厳密に考え過ぎず、ライフイベント表に記入してください。

 

実行の時期と体力、予算とやりたい想いなどで優先順位をつけてください。修正も必要になります。その際、削れるものを削ると、本当にやりたいことが見えてくるかもしれません。そして、ライフイベント表を90歳まで、わかる範囲で記入してみましょう。

 

イベント費や夢の実現のためにやりたいことをリストアップしてみると、いまの財布の中身でどの程度もつか、皆さんの財布の耐用年数を知る材料になります。

 

[図表1]ライフイベント表

 

「定年後の年間収支額」の計算方法

(2)年間収支額(定年後)の予想

 

年間収入を第2回の図表2、年間支出を第2回の図表3で作成しましたが、定年後の年間収支額を予想して計算しましょう。

 

定年後の収入(以下の図表2)は給料から年金中心になり、支出(以下の図表3)も家族構成や生活スタイルの変化によって変わります。定年前とは別に、定年後の年間収支も予想し、考えていかなければなりません。

 

[図表2]定年後の年間収入

 

[図表3]定年後の年間支出

 

予想年金額は、毎年送られてくるねんきん定期便を参考にするのもいいのですが、「ねんきんネット」で検索すると、必要なときに自分の細かい情報を見ることができます。ご自身の「ねんきんネット」への登録方法は、日本年金機構のホームページに案内されていますので、そちらを見て登録してください。

 

「定年後の年間収支額」は次のとおり計算します。

 

計算式C:定年後の年間収支額=定年後の年間収入額-定年後の年間支出額

ファイナンシャルプランナーが教える終活デザインブック

ファイナンシャルプランナーが教える終活デザインブック

安藤 信平

合同フォレスト

健康と同様に、終活も「予防と早期発見」が大切! 終活コンサルタントである著者が、40代・50代の人に向けて、早いうちから知っておいてほしい終活の全体像、これからの人生設計に役立つ情報を紹介します。

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