今回は、家計の仕訳表から「自分の財布の体力測定」をする方法を説明します。※本連載は、終活コンサルタントとして活躍する安藤信平氏の著書、『ファイナンシャルプランナーが教える終活デザインブック』(合同フォレスト)の中から一部を抜粋し、老後に必要なお金と準備のポイントを見ていきます。

資産の内訳・負債の内訳を確認し、使える資産を把握

(1)家計の仕訳「体力測定」

 

①資産の内訳・負債の内訳

前回、以下の「家計のバランスシート」に仕訳をしました。財布の中身を分けることで、現金や預金などのすぐに使える資産がいくらあるのか、わかってくるのです。

 

[図表1]家計のバランスシート

 

株式・債権・投資信託などの増やすための資産は損をすることもありますから、損得は予測できません(これをリスクとリターンの予測といいます)。資産を増やすための資産について詳しく知りたい方は、投資やファイナンシャルプランナー関係の本で知識を得てください。

 

資産の内訳からは、どのような目的や特徴のある資産をどんな割合で持っているのかを知ることができます。それがいまの暮らしに合っているのか、将来の生活設計に合っているのかを確認・検討する材料になります。

 

負債の内訳では、ローンの種類、現在残高、あと何年で返済が終わるのかを確認・整理することができます。

 

②皆さんの財布の体力

計算式Aで算出した「純資産額」が、皆さんの財布の体力です。貯蓄や投資・不動産などの資産が多くあるからといって安心しないでください。それは本当の資産ではありません。資産からローンなどの負債を差し引いた「純資産額」が本当の資産なのです。

 

計算式A:純資産額=資産合計額-負債合計額

 

この額が少ない人は警戒領域、マイナスの人は危険領域にいます。いまは低金利で心配なくても、将来的な金利はわかりません。そのとき借金に苦しんでは遅いのです。ですから、いまからローンを減らすなどの対策が必要になります。

 

③定期的な書き直し

家計のバランスシートは、毎年書き直してください。貯蓄だけではなく、保険積立額や不動産評価も毎年変わります。ローン残高も同様なので、わかる範囲で書き直します。大事なのは、前年と比較することです。「純資産額」の増減で、資産・負債のどの科目が影響を与えたのかを毎年理解しておきましょう。

使途不明金の洗い出しには「家計簿」が最適

(2)家計の動き「健康チェック」

 

家計のバランスシートが毎年決められた時点での体力測定なら、以下の図表2の年間収入、図表3の年間支出は、1年間の家計の動きである健康チェックになります。

 

[図表2]年間収入

 

[図表3]年間支出

 

計算式Bで算出した「年間収支額」が1年間に貯蓄できる金額、すなわち家計の健康状態です。この額がマイナスの場合は支出の見直しが必要です。プラスなのに貯蓄ができていない場合は、使途不明金がある可能性があるので、家計の収支を見直しましょう。

 

計算式B:年間収支額=年間手取り収入合計額-年間支出合計額

 

収入は決まっているので、支出の再確認がポイントです。効果的なのが固定費の見直しです。具体的には、図表3の住居関連費、車両費、教育費、保険料などと税金です。

 

住居や車はいまの生活に合っていますか。月払いを年払いにするだけでも年間支払い額が変わりますから、考えられる限りの工夫をしてみましょう。固定費は必ず出ていく支出なので、一度見直し、仕組みづくりをすれば、長期にわたり大きな効果が得られます。

 

使途不明金の洗い出しには、やはり家計簿をつけることです。気づかなかったお金の使い方が明らかになり、その他の支出も含めて無理・無駄が見えてきます。優先順位をつけて、メリハリのあるお金の使い方をしましょう。

 

住宅ローンや保険の見直しは、今後どういった生活スタイルを考えているのかで違ってきます。

ファイナンシャルプランナーが教える終活デザインブック

ファイナンシャルプランナーが教える終活デザインブック

安藤 信平

合同フォレスト

健康と同様に、終活も「予防と早期発見」が大切! 終活コンサルタントである著者が、40代・50代の人に向けて、早いうちから知っておいてほしい終活の全体像、これからの人生設計に役立つ情報を紹介します。

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