初値が付いた後、その日のうちに株価上昇の局面が・・・
初値買いは飛び降りるタイミングに要注意と書きましたが、特に上場当日の初値を買って、そのまま翌日まで持ち越すことはやめておくべきだと私は思います。
しかし、もしもあなたが四六時中パソコンの前に座ってデイトレードができる境遇にある人なのであれば、それはちょっと状況が変わってきます。
なぜなら、IPO株は上場当日に初値が付いたあと、必ずと言っていいほどその日のうちに、株価が上昇する局面があるからです。しかも、その1日のうちの値動きが大きいのがIPO株の特徴です。
2016年にIPOした83銘柄の平均の初値vs.上場当日高値の騰落率は+9.8%と、ほぼ+10%でした。また、上場当日の高値が初値と同じ、いわゆる、初値天井もわずか2銘柄のみでした。
日本経済新聞の株式欄を見ても、前日比で10%以上値上がりする銘柄は、通常、1日に10銘柄もありません。国内の各市場に上場している4000近い銘柄から、その10%以上株価が上がる数銘柄をピンポイントで予想することはほとんど不可能です。しかし、上場当日のIPO株であれば、特に予想する必要もなく、平均で10%近い値上がり幅を期待できます。これは、デイトレーダーにとっては理想的な銘柄となりうるでしょう。
上場当日に売却せず、終値までホールドしたら?
図表1~4は、2016年に上場した銘柄を市場別に分けて、初値と上場当日の高値を比較したものです。
この中でも東証JASDAQ市場に上場した銘柄は、初値から高値まで平均で11.8%上昇しています。ちなみにマザーズは10.9%、東証1部・2部は2.9%の上昇です。
[図表1]2016年IPO銘柄 市場別初値vs上場当日「高値」騰落率 JASDAQ 13銘柄
[図表2]2016年IPO銘柄 市場別初値vs上場当日「高値」騰落率 マザーズ 55銘柄
[図表3]2016年IPO銘柄 市場別初値vs上場当日「高値」騰落率 東証1部・二部 13銘柄
[図表4]2016年IPO銘柄 市場別初値vs上場当日「高値」騰落率 その他の市場 2銘柄
初値より高い株価が一度も付かず、下がり続けてその日の取引時間を終えてしまった銘柄が1つもないことにも注目してください。
しかしながら、初値で買って、上場当日に売却せずに終値までホールドした場合についても見てみると(→図表5~8)、2016年の83銘柄の平均初値vs.終値の騰落率は-2.1%でした。東証マザーズ銘柄は平均で-2.2%、JASDAQは-0.9%、東証1部・2部では-4.6%と厳しい状況になっています。
[図表5]2016年IPO銘柄 市場別初値vs上場当日「終値」騰落率 JASDAQ 13銘柄
[図表6]2016年IPO銘柄 市場別初値vs上場当日「終値」騰落率 マザーズ 55銘柄
[図表7]2016年IPO銘柄 市場別初値vs上場当日「終値」騰落率 東証1部・2部 13銘柄
[図表8]2016年IPO銘柄 市場別初値vs上場当日「終値」騰落率 その他の市場 2銘柄
やはり、超短期の売買では翌日までの持ち越しは「凶」で、その日のうちに売買を完結させるデイトレードが「吉」となる、といえそうです。