IPO株の初値買い・・・翌日まで売買を持ち越してはいけない理由

今回は、IPO株の初値買いでは、翌日に持ち越さず、当日中に売買を完結させるべき理由を見ていきます。※本連載では、IPO関連情報の集積度で日本一を誇るサイト「IPOジャパン」編集長の西堀敬氏の著書『IPO投資の基本と儲け方ズバリ!』(すばる舎)から一部を抜粋し、IPO株で「超短期の公募買い・初値売り」を成功させるための投資手法を紹介していきます。

初値が付いた後、その日のうちに株価上昇の局面が・・・

初値買いは飛び降りるタイミングに要注意と書きましたが、特に上場当日の初値を買って、そのまま翌日まで持ち越すことはやめておくべきだと私は思います。

 

しかし、もしもあなたが四六時中パソコンの前に座ってデイトレードができる境遇にある人なのであれば、それはちょっと状況が変わってきます。

 

なぜなら、IPO株は上場当日に初値が付いたあと、必ずと言っていいほどその日のうちに、株価が上昇する局面があるからです。しかも、その1日のうちの値動きが大きいのがIPO株の特徴です。

 

2016年にIPOした83銘柄の平均の初値vs.上場当日高値の騰落率は+9.8%と、ほぼ+10%でした。また、上場当日の高値が初値と同じ、いわゆる、初値天井もわずか2銘柄のみでした。

 

日本経済新聞の株式欄を見ても、前日比で10%以上値上がりする銘柄は、通常、1日に10銘柄もありません。国内の各市場に上場している4000近い銘柄から、その10%以上株価が上がる数銘柄をピンポイントで予想することはほとんど不可能です。しかし、上場当日のIPO株であれば、特に予想する必要もなく、平均で10%近い値上がり幅を期待できます。これは、デイトレーダーにとっては理想的な銘柄となりうるでしょう。

上場当日に売却せず、終値までホールドしたら?

図表1~4は、2016年に上場した銘柄を市場別に分けて、初値と上場当日の高値を比較したものです。

 

この中でも東証JASDAQ市場に上場した銘柄は、初値から高値まで平均で11.8%上昇しています。ちなみにマザーズは10.9%、東証1部・2部は2.9%の上昇です。

 

[図表1]2016年IPO銘柄 市場別初値vs上場当日「高値」騰落率 JASDAQ 13銘柄

 

 

[図表2]2016年IPO銘柄 市場別初値vs上場当日「高値」騰落率 マザーズ 55銘柄

 

 

[図表3]2016年IPO銘柄 市場別初値vs上場当日「高値」騰落率 東証1部・二部 13銘柄

 

[図表4]2016年IPO銘柄 市場別初値vs上場当日「高値」騰落率 その他の市場 2銘柄

 

初値より高い株価が一度も付かず、下がり続けてその日の取引時間を終えてしまった銘柄が1つもないことにも注目してください。

 

しかしながら、初値で買って、上場当日に売却せずに終値までホールドした場合についても見てみると(→図表5~8)、2016年の83銘柄の平均初値vs.終値の騰落率は-2.1%でした。東証マザーズ銘柄は平均で-2.2%、JASDAQは-0.9%、東証1部・2部では-4.6%と厳しい状況になっています。

 

[図表5]2016年IPO銘柄 市場別初値vs上場当日「終値」騰落率 JASDAQ 13銘柄

 

 

[図表6]2016年IPO銘柄 市場別初値vs上場当日「終値」騰落率 マザーズ 55銘柄

 

 

[図表7]2016年IPO銘柄 市場別初値vs上場当日「終値」騰落率 東証1部・2部 13銘柄

 

 

[図表8]2016年IPO銘柄 市場別初値vs上場当日「終値」騰落率 その他の市場 2銘柄

 

 

やはり、超短期の売買では翌日までの持ち越しは「凶」で、その日のうちに売買を完結させるデイトレードが「吉」となる、といえそうです。

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    「IPOジャパン」編集長
    IPOエバンジェリスト
    日本テクニカルアナリスト協会検定会員

    1960年、滋賀県生まれ。大阪市立大学商学部卒。証券会社の国際部と海外現地法人に10年勤務。その後、気象情報会社ウェザーニューズの財務部長、米国系Eコマース会社の日本法人CFO&COO、IRコンサルティング会社取締役を経て、2011年から日本ビジネスイノベーションの代表取締役を務める。2002年から2015年まで「東京IPO」編集長、2016年からはIPO関連情報の集積度で日本一を誇るサイト「IPOジャパン」編集長。

    著者紹介

    連載超短期IPO投資「公募買い・初値売り」講座

    本連載は、西堀敬氏の著書『IPO投資の基本と儲け方ズバリ!』(すばる舎)から一部を抜粋したものです。掲載している情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。投資はご自分の判断で行ってください。本連載を利用したことによるいかなる損害などについても、著者、出版社および幻冬舎グループはその責を負いません。

    改訂版 IPO投資の基本と儲け方ズバリ!

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    西堀 敬

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