前回に続き、勝ち残る税理士となるために、自分の「専門分野」の定め方を見ていきます。

「宗教法人」の関心が高い、土地の借地問題

●狙い目はメジャーな分野とニッチな分野

 

ニッチな分野は、競合の少ないブルーオーシャンなのでお勧めです。たとえば、宗教法人に特化している税理士がいます。宗教法人は絶対数そのものは多くはありませんが、どこの宗教法人も多かれ少なかれ悩んでいるのでニーズが高いと聞きます。 

 

宗教法人が抱える悩みで一番は、土地の借地問題です。基本的に地主なので、土地を借地で貸しているケースが多く、借地人とのやりとりや契約上の問題、宗教法人特有の事情などが絡んで複雑になっている場合が多いのです。今は檀家も少なくなり、お布施を多く支払う熱心な信者も少なくなっていますから、収入が減って赤字のところも多いはずです。

 

こうした部分に特化して専門的なアドバイスができる税理士は、引く手あまたでしょう。

競合の少ない「飲食」「コンビニ業界」は狙い目

また、メジャーな分野は市場が大きいので、競合の少ない今なら勝負をかけられます。たとえば、飲食業界やコンビニ業界などです。

 

飲食業界に特化している事務所では、不動産屋と提携をしてやっているところもあると聞きます。出店のための物件を不動産屋が紹介したタイミングで、顧客に「開業するに当たっての税理士はいるか」と確認し、いなければその税理士を紹介する仕組みになっているようです。税理士が開業のための法的手続きや融資などの相談に乗れるので、とても自然で顧客にも喜ばれる紹介のしかたになります。

 

コンビニに特化している事務所もあると聞きました。コンビニは近年、経営統合により「サークルK」「サンクス」が「ファミリーマート」になるなど、上位の競争は激しさを増しています。そんな中で、フランチャイズのオーナーなどは専門的なアドバイスをもらって、競合他社と差別化を図りたいと考えている場合が多いようです。こうしたニーズに応えられる税理士になれば強いでしょう。

 

マーケットの大きいところではラーメンなども面白いかもしれません。税理士の中にもラーメン好きはたくさんいると思いますが、そこで「ラーメン税理士」なんかを謳ってラーメン屋の力になれば、かなりキャッチーで注目を集めるのではないかなと個人的に思っています。

 

ちなみに、専門とする業種を打ち出していくときに、大事にしたいのは「ストーリー性」です。その業種に特化した経緯や理由などと、脈絡あるストーリーで語っていきましょう。私のように「実家がアパートを経営していて〜」などを語れると、顧客の信頼性に繋がるからです。

 

好きで選んだ業種でなくても、「あるお客様との出会いで、この業界との繋がりができて〜」とか「初めは仕事のためにやっていたが、いつの間にか自分から積極的に知りたいと思うようになった」などのストーリーを持つことで、コンサルティングに真剣さと真実味が生まれます。「なんとなくやっています」では、いい加減なコンサルティングしかしてもらえないと思われてしまうでしょう。

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    本連載は、2016年12月9日刊行の書籍『「税理士」不要時代』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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    渡邊 浩滋

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