「顧客を集めたコミュニティー」が成功の秘訣
前回の続きです。
私の場合は、勤務しているうちから大家さん仲間が増えて「大家さんの会」というコミュニティーを立ち上げられたことが特化のポイントになったと思います。独立してからも、大家さんを集めて勉強会やセミナーを行っていくと大家さん税理士として認知が広まっていき、仲間からの紹介で参加してくださる方も次第に増えて、業界的な注目を集めるのにそれほどの時間もかかりませんでした。
大家さんの会がなぜそれほど盛況だったかというと、大家さんたちが横の関係を重要視していたということもあります。基本、大家さんというのは一人で経営を行う孤独な存在です。空室対策として何をしているか、節税対策を取り入れているか、税理士はどういうアドバイスをしてくれるかなど、そういった情報交換をできる繋がりや場が欲しいものです。それは私自身が必死に経営を立て直したときにも感じていたことでもあります。だからこそ、そういった場を生み出し、提供することが早い段階で結果に繋がったのだと思っています。
現在は、SNSなどで人と繋がりやすくなっているので、そういったものを活用することが特化で成功する近道になると思います。
また、当時は賃貸経営に特化した税理士がいなかったというのも大きいポイントだったと思います。私はたまたま実家の関係で賃貸経営に特化する道を選びましたが、それこそ他の業界で困っている経営者はたくさんいることでしょう。そういう場を見つけて積極的にサポートしていく立場になるということが、これからの税理士に求められることだと思います。
データや事例の蓄積により、細やかな顧客対応を実現
これまでにも説明してきたことですが、自分自身が賃貸経営をしている立場として感じてきたことや、それを活用して多くの顧客の相談を受けたこと、この二つによってデータや事例は蓄積されていっていますので、それを効率のよい、効果的な専門的ノウハウやテクニックとして顧客に還元していけることがまず大きなサービスだと思っています。
また、通常、賃貸経営で個人のオーナーさんと顧問契約をするのは珍しいのですが、私の事務所では個人オーナーさんも対象としてのサービスも行うことができるようになっています。個人のオーナーさんにも、節税策として、事業的規模とは何かを把握して青色申告をしているか、65万円控除をしているか、小規模企業共済を利用しているか、青色事業専従者給与を利用しているかどうか、建物の名義は適正か、法人化を検討すべきかなどのアドバイスを細かく行っています。
さらに、確定申告に向けては、赤字にすれば税金を納めなくて済むというメリットがありますが、そんな単純なケースばかりではなく、赤字にしたくないケースというのも実際にはあります。
たとえば今後融資を受けたい場合や、不動産所得だけ赤字になった場合、土地取得の利息部分には損益通算の対象にならないという規定があるため、マイナスを作っても意味がない場合などです。あとサラリーマンをしている方だと、会社にバレたくないという場合もあります。赤字にしてしまうと、給料と相殺されて住民税が課せられるので、そこで会社にバレてしまいます。
本来、赤字にしないアドバイスなどそうそう行っているものではありませんが、実際に個人の大家さんにはそういったニーズもあるということを私はこれまでの経験で知っているので、そういった部分でのアドバイスもできます。他にも、キャッシュフローの改善提案だったり、デッドクロスの問題だったり、借り換えや金利の交渉だったり、翌年の対策を考えたり。
大家さんの実情を踏まえていくことで、痒いところに手が届くようなサービスまで可能なので、大家さんであればどういったケースでも対応できて、喜んでもらえるという自負があります。