前回までは、「賃貸経営」に特化した税理士の成功例を取り上げました。今回は、税理士が目指すべき「最高の働き方」を見ていきます。

税理士の専門特化とは、時代に合わせて進化した働き方

税理士として専門特化をすることは、現状では最大の差別化になるということを、本書では一貫してお伝えしてきました。全方向にとってプラスになることが多く、税理士本人、顧客、各種業界、日本経済、すべてがWIN‒WINになる働き方だと考えていただいて構わないと私自身は思っています。

 

特に私が強調したいのは、税理士としての〝やりがい〞の部分です。

 

もともとは高収入を期待して税理士資格を取得した方も珍しくはないと思います。それはそれで生きていくうえで必要なことですから、悪いことだとは思いません。

 

ところが、現在の税理士は以前のように働いているだけでは、高収入を期待することは難しくなってきています。一生懸命勉強して資格を取ったのに、業界を取り巻く環境は激変、みるみるうちに顧問料は低下し、それに伴い収入も低下、それにもかかわらず、就職先の会計事務所では同僚との厳しい競争に晒されることもしばしば。

 

このような状態の中、やりがいを失ってしまう方もきっと少なくないと思うのです。

 

しかし、だからこそ今専門特化という新しい働き方が注目を浴びているのでしょう。ピンチはチャンスという言葉をよく耳にしますが、業界的なピンチが税理士の真の働き方を照らしてくれたのではないかと思っています。

 

他業界で言えば、TPP問題に揺れる農業も似ていると感じています。農業は自国の制度に守られていたことで、進化や変化を止めてしまった、もしくは緩んでしまった部分がどうしてもあると思います。それは私の考えの及ばないような業界的な事情もあったことだと思いますが、時代はときに急激に変化します。その変化が訪れたときに、拒絶してもしかたがありません。その変化を受け入れて、進化しないと先に進むことはできません。

 

税理士で言えば、専門特化が時代に合わせて進化した働き方だと言えるでしょう。

さらにその先に辿り着けば、業界に名を残すことも可能

専門特化には、やりがいを感じられます。自分が選んだ分野で、業界を掘り下げることができ、顧客とは親密になり、クオリティーの高いサービスを提供することができるからです。そこで待っているのは、税理士としての充実感とお客様の満足です。これこそが税理士としての本懐だと実感できるような仕事ができます。

 

ただし、一点注意したいのは、専門特化は決して最終的なゴールじゃないということです。時代は進化しますとお伝えしましたが、この先を見据えれば競合税理士がいつ出てきてもおかしくはありません。専門特化した税理士が競合して溢れるような時代も来るかもしれないのです。

 

そのときになってからまた慌てふためくような愚を犯さないためにも、専門特化してさらにその先を突き詰めて、誰も届かないようなところまで、誰よりも早く辿り着く必要があります。それができれば、税理士業界に名を残すことも不可能ではないでしょう。

 

さて、そこまでいければ理想ですが、まず入り口は専門特化です。税理士として最高の働き方をするためにも、一度専門特化を検討し、体験してみることから始めてみてはいかがでしょうか?

本連載は、2016年12月9日刊行の書籍『「税理士」不要時代』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

「税理士」不要時代

「税理士」不要時代

渡邊 浩滋

幻冬舎メディアコンサルティング

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