前回は、「プライベートバンク」で提供される様々なサービスを紹介しました。今回は、プライベートバンクの組織形態について見ていきます。

株式資本に限定したものとなった「銀行の信頼性」

経費の増大、ビジネスの複雑化、それらに付随するリスクのため、パートナーシップによって運営されてきた銀行のいくつかは、組織形態の転換に踏み切っています。

 

結果として、銀行の信頼性は、かつてのようにパートナーシップに基づくのではなく、株式資本に限定したものになっています。数年前にはパートナーシップに基づいた12の伝統的なプライベートバンクがありましたが、いま残るのは6つだけです。恐らく、組織形態の変化に関して最も大きな理由は、伝統的なスイスのプライベートバンクの組織構造に対する各国の監督官庁の理解不足ではないかと思います。

 

伝統的プライベートバンクでは、ビジネスやリスクに対するカルチャーは財務上のリスクを負っているパートナーの影響を受けます。これは、マネジャーによって運営されている銀行とは異なります。マネジャーには財務上のリスクはありませんが、彼らの監視を行う各種規制機関が追加で必要となります。

バウマンの例に見るプライベートバンクの基本姿勢

バウマン(第21回参照)の場合、3人の無限責任パートナーが密接に結びついたチームとして長年やってきました。当行はどんな時も、保守的でありながら独創的な戦略を取ってきました。さらに我々は、過度の多角化を望むことはありません。

 

一方で、パートナー自身の財務力と銀行資本が我々の自由を保証してくれています。端的に申し上げれば、特定の政治に片寄らない長期的視点に立った意思決定と、顧客中心の活動方針がバウマンの強みとなっています。

 

バウマンのパートナーは、銀行経営に問題が起きた際、個人的に自分たちの資産を提供する義務を負っています。したがって、彼らは健全で長期的な戦略をとっています。顧客はどんな時も我々の最大の関心事です。

 

我々は短期的な収益よりも個々の長期的なパートナーシップに信頼をおいており、お客様とはビジネスを超えた個人的なお付き合いもしています。

プライベートバンクの嘘と真実

プライベートバンクの嘘と真実

篠田 丈

幻冬舎メディアコンサルティング

スイスの伝統的プライベートバンク経営者が共著・取材協力! その実態が初めて明かされる! 相続税増税や海外資産の取り締まり強化など、富裕層が持つ資産に対する捕捉は厳しさを増す一方。そんな中で注目されているのが「…

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