前回は、クオンツ運用を「AI化」するメリットを取り上げました。今回は、クオンツ運用のAI化に必要な条件について見ていきます。

従来型ヘッジファンドも、AIを駆使した投資判断へ

AI化が進むヘッジファンドの実際の運用成績を見て、従来型ヘッジファンドも人間の経験や勘ではなく、AIを駆使した投資判断へと方向転換を進めています。

 

例えば、大量の空売り戦略で伝説をつくった投資家ポール・ジョーンズは、最近になってAIの専門家を雇い入れて、機械学習によるビッグデータ分析など新しい取引スタイルを取り入れ始めました。

 

また、世界最大級のヘッジファンドであるブリッジウォーターは2015年に、IBMのワトソン開発の主導者であるデービッド・フェルッチをヘッドハンティングしました。

経営トップに求められる「金融工学・AI」のノウハウ

アメリカのヘッジファンド業界では、金に糸目をつけずに、優秀なAI技術者を争奪する戦いが繰り広げられています。ただし、優秀な技術者を引き抜くだけでは成功は難しいともいわれています。

 

先ほど紹介したルネッサンス・テクノロジーズ、ツーシグマ、Aidyia、そしてリベリオン・リサーチが注目されている理由は、創業者あるいは創業メンバーに世界レベルの数学者やAI技術者が存在するからです。つまり、経営トップに金融工学やAIのノウハウが求められているのです。

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    本連載は、2017年12月18日刊行の書籍『AI化する銀行』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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    長谷川 貴博

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