前回は、「クオンツ運用」を主な戦略にしているヘッジファンド、「クオンツ・ファンド」の例として、ルネッサンス・テクノロジーズ、ツーシグマを取り上げました。今回も引き続き、「クオンツ・ファンド」の代表例を紹介します。

人間のトレーダーが一切関与しないファンドも存在

前回の続きです。

 

③Aidyia(アイデア)

 

AIの世界的権威であり、米オープンコグの会長を務めるベン・ゲーツェルがチーフ・サイエンティストを務める香港のヘッジファンドです。

 

AIを活用した資産運用を全面的に推し進めています。なかには人間のトレーダーがまったく関与していないファンドもあり、ゲーツェルは「もし私たちが全員死んだとしても、取引は続くことになるだろう」と語っています。

約20名の専門家が運営する「リベリオン・リサーチ」

④リベリオン・リサーチ

 

小規模ながらAIを活用した長期投資を試みるアメリカのヘッジファンドです。リベリオンのAIシステム「スター」の開発者スペンサー・グリーンバーグは、父も有名な投資家です(ちなみに祖父はデトロイト・タイガースで活躍し、野球殿堂入りしたハンク・グリーンバーグです)。

 

リベリオンはグリーンバーグを中心に20名ほどの数学とコンピュータの専門家で運営されている、少数精鋭のヘッジファンドなのです。

 

同社では、AIの強みを3つ挙げています。

 

まず、圧倒的なリサーチ能力。世界53の国と地域の経済指標を24時間チェックすることができます。

 

2つ目は、「メンタルが強い」こと(現時点のAIにはそもそも「メンタル」など存在しませんが)。波乱相場でも冷静に合理的な判断ができます。人間ならよほどメンタルが強くないと感情に負けることがあります。

 

3つ目は、低コストだということ。運用コストは年1%と一般的なヘッジファンドの半分以下です。

本連載は、2017年12月18日刊行の書籍『AI化する銀行』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

AI化する銀行

AI化する銀行

長谷川 貴博

幻冬舎メディアコンサルティング

AIの導入によって日本の銀行が、そして銀行員の働き方が劇的に変化します。単純作業は真っ先にAIに切り替わり、早いスピードと高い精度で大量の業務がさばかれていきます。さらに、属人的な業務でさえも、AIが膨大なデータから…

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