リテールサービスから機関投資家向けサービスまで、銀行業務は次々にAIへと切り替わっていきます。本連載では、AI活用が進む「10種類の業務」を具体的な事例紹介とともに解説します。

置き換えは「個人向け・法人向け」に関わらず進行する

銀行業務が次々とAIに置き換わっています。置き換えが進んでいる業務は、次の10業務です。

 

①ヘッジファンド

②トレーディング

③不正防止

④アンチマネーロンダリング

⑤情報収集

⑥ロボットアドバイザー

⑦融資サービス

⑧接客業務

⑨問い合わせ対応

⑩高度な情報提供

 

①~⑤は主にホールセール(法人向け)業務、⑥~⑩は主にリテール(個人向け)業務となります(融資など両方にまたがる業務もあるので、あくまで「主に」)。

 

この順番に実際の事例を詳しく見ていきます。

運用成績が芳しくない「ヘッジファンド」

(1)ヘッジファンド

 

ヘッジファンドの歴史を少し振り返ってみます。

 

20世紀末には、ジョージ・ソロスやジュリアン・ロバートソンといった、今では伝説化している大物ファンドマネージャーたちが活躍していました。

 

ソロスは、1992年9月16日のイギリスで「ブラック・ウェンズデー」と呼ばれる日に大量のポンド売りを敢行し、一晩で10億ドルの利益を出しました。

 

ロバートソンは1980年にタイガー・ファンドを設立、最盛期には228億ドルの資産を有する史上最大のヘッジファンドにまで成長させました。2000年には引退しましたが、タイガー・ファンドは2010年代に活躍しているリー・エーンズリー、チェース・コールマン、デービッド・スノッディなどのファンドマネージャーを輩出しています。

 

しかし世界経済の動向が読みにくくなった現在、ヘッジファンド業界全体の運用成績は、芳しくない状況です。実質的な業界標準指数であるHFRXグローバル・ヘッジファンド・インデックス(HFRX指数)を作成しているヘッジファンド・リサーチ社によれば、2016年のヘッジファンド解約額は150億ドル、運用総資産額は約400億ドルのマイナスとのことで、これはリーマン・ショック時以来のマイナス規模になります。

本連載は、2017年12月18日刊行の書籍『AI化する銀行』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

AI化する銀行

AI化する銀行

長谷川 貴博

幻冬舎メディアコンサルティング

AIの導入によって日本の銀行が、そして銀行員の働き方が劇的に変化します。単純作業は真っ先にAIに切り替わり、早いスピードと高い精度で大量の業務がさばかれていきます。さらに、属人的な業務でさえも、AIが膨大なデータから…

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