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在宅での「経鼻経管栄養」を可能にした介護サービス

前回は、在宅サポートチーム尽力によって、高齢患者の在宅復帰を実現した事例を取り上げました。今回は、在宅での経鼻経管栄養を可能にした介護サービスを紹介します。

通常より多くリハビリが受けられる、地域包括ケア病棟

症例b 気管切開の状態から無事回復

 

Bさんは、陳旧性(ちんきゅうせい)心筋梗塞・左室瘤のため、F病院に入院しました。F病院では冠動脈バイパス術と左室形成術を受けましたが、その後の回復が進まず、気管切開・カニューレ挿入となり、経鼻経管栄養も必要な状態になってしまいました。

 

自宅に帰ることが困難になってしまったため、私の病院の地域包括ケア病棟に継続入院しました。地域包括ケア病棟は、60日まで入所することができ、通常よりも多くリハビリが行えるメリットがあります。

 

術後の体力が回復してきたタイミングに合わせて、まずはカニューレを外せるようにしました。スピーチカニューレにつけ替えを行い、口や鼻からの呼吸の練習をし、Bさんはカニューレを抜去することができました。さらに、関節可動域訓練や筋力増強訓練によって30メートルの歩行が可能になったほか、摂食嚥下訓練によって、徐々に食べ物の形状を変えながら口からものを食べられるようにし、ヨーグルトの経口摂取が可能になるまでに回復しました。

経鼻経管栄養が必要だったが、60日目に無事退院

しかし、依然として経鼻経管栄養は必要でした。そこで自宅に帰ってからも家族が経管栄養の管理ができるようにするため、看護師が経鼻経管栄養の操作方法を家族に伝え、練習を行いました。

 

入院42日目には、理学療法士、作業療法士、介護支援専門員(ケアマネジャー)がBさんの自宅を訪問し、トイレの手すり設置や浴室のシャワーチェアを設置するなど環境調整を行い、各動作の指導も実施しました。

 

入院46日目に介護支援連携会議を行い、自宅で医療と介護の連携を図る相談をしました。経鼻経管栄養が必要だったため訪問看護などの介護サービスを使うこととなり、入院60日目に無事退院。自宅へ戻ることができました。その後は、介護サポートを利用しながら、私の紹介した近くの開業医の訪問診療を受けています。

医療法人清水会 理事長
相生山病院 院長 医学博士

1970年10月ニューヨーク生まれ。1歳半で帰国し、以後名古屋で育つ。
1989年愛知県立旭丘高等学校卒業。1996年藤田保健衛生大学医学部医学科を卒業後、1998年より名古屋第一赤十字病院循環器科へ赴任。翌年に藤田保健衛生大学医学部循環器内科に帰局し、内科認定医、循環器専門医を取得。
2007年、相生山病院副院長に就任、2013年には院長に就任。「患者に寄り添う医療」をモットーに、看護師や医師の対応、サービス等を改善するなどホスピタリティ向上に尽力している。
2016年3月、医療法人清水会理事長に就任。現在は高齢患者の健康寿命を延ばすため、認知症かかりつけ医・認知症サポート医として認知症予防や運動療法の普及にも積極的に取り組んでいるほか、介護施設も多数運営。地域で先駆けて「地域包括支援センター」として市の委託事業に参画。地域の医療・介護サービスの充実を目指している。趣味はトライアスロン。

著者紹介

連載高齢者のための地域医療――「地域」と「医療」の連携で取り組む体制作り

 

医療・介護連携で実現する 高齢者のための地域医療

医療・介護連携で実現する 高齢者のための地域医療

佐藤 貴久

幻冬舎メディアコンサルティング

2025年には団塊の世代がすべて75歳以上となり、全国民の3人に1人が65歳以上になると予想されています。これまでと同じ医療体制を続けていては、高齢者は自分の望む最期を迎えられないばかりか、増える高齢者によって医療費が膨…

 

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