前回は、地域に根付いた医療・介護施設に求められる「地域への貢献」について取り上げました。今回は、地域医療に欠かせない「かかりつけ医」が担う役割を見ていきます。

人々に安心感を与え、地域医療発展の好循環をつくる

街の急性期病院に「神の手」と呼ばれるスーパードクターがいれば、確かにその地域のイメージアップにつながるかもしれません。しかし、その街に住む人に本当に必要なのは、スーパードクターよりも、患者の心に寄り添う「かかりつけ医」であるはずです。

 

高度な医療技術や、高価な検査機器などは、ある程度広範囲の拠点病院にあればよいのであって、中小の病院には必ずしも必要ありません。拠点病院と連携を取れる仕組みさえできていれば、問題なく地域医療を進めることができます。

 

かかりつけ医は内科や外科といった専門知識だけではなく、全身状態のチェックをし、病状によってはすみやかに連携病院を紹介します。その上で患者とその家族の話をじっくり聞く傾聴力を持っている医師でなければなりません。

 

また、ひとり暮らしの高齢者や、介護が必要になった人に向けては、医療だけでなく介護サービスを紹介し、もしくは介護について相談できる場所に患者を導くことも求められます。

 

個人クリニックの医師であっても中小規模の病院に勤務する医師であっても、高齢者に向けた投薬や治療の知識を持ち、地域の情報にもアンテナを張れるような意欲のある人間でなければ務まりません。

 

信頼に値するかかりつけ医のいる街は、人々に安心感をもたらし、現役世代にとって「この街でなら一生安心して暮らせる」と思える場所になります。そうなれば、地域医療がますます発展していく好循環が生まれるのです。

病院との連携をとりつつ、退院後の患者へのサポート

かかりつけ医の役割についてもう少し考えてみましょう。

 

大きな病気を患い、大学病院で入院治療をしていた高齢の患者が退院できるのは、必ずしも「完治」した時というわけではありません。「ある程度の治療が終了したが、これ以上は入院していても改善できない」と判断されているケースが少なくないのです。

 

そこで、退院後の医療を担うのもかかりつけ医の重要な役割です。まだ万全の体調ではない患者に対して、入院していた病院と連携をとりつつ、できるだけ投薬を抑えながら、在宅で快適な生活が送れるようにサポートしていきます。なかには、病気の再発や、合併症を起こす人もいるため、再入院の必要があれば、速やかに前院に連絡をすることも必要になります。

 

もちろん、患者がかかりつけ医に通院するのが難しい場合、訪問という形で医療を行うことも考えていかなければなりません。

 

そこで必要となってくるのが、訪問看護や訪問歯科、訪問薬剤師など、多職種との連携です。さまざまなプロフェッショナルの職種が知恵を出し合い、協力することで、在宅医療を支えていくことができます。

 

入院患者を治療する病院の後方支援として、地域に根づいた医療を行う存在、それがかかりつけ医や、医療と介護のプロ集団の役割でもあるのです。

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