2017年のデータに見る「不動産投資市場」のパフォーマンス

今回は、2017年のデータから不動産投資市場のパフォーマンスを見ていきます。※ロサンゼルスを本拠とする世界最大の事業用不動産サービス会社のシービーアールイー株式会社(CBRE)。本連載では、そのリサーチ部門が世界の不動産市場の最新情報をお伝えします。

売買件数は前年を11%下回り、2010年以来の少なさに

2017年の不動産投資額(10億円以上の取引)は、Q3末(=9月末)までの累計で2.6兆円、前年同期に比べて16%増加した。500億円を超える複数の大型取引によりQ1の投資額が大きく伸びたことが主因。一方、売買件数はQ3までの累計で前年同期を11%下回り、2010年以来の少なさとなった。


売買件数は前年実績を下回ったものの、J-REITを除く国内投資家、ならびに海外投資家による投資額はQ3までで前年を上回った。複数の大型案件が成約したことが要因である。しかし、J-REITによる投資については、件数のみならず投資額も前年割れとなった。これは、J-REITの株価が低迷したことが要因として挙げられる。

 

日経平均は年初から11月末までで19%上昇したのに対し、東証REIT指数は同期間で10%下落した。株価の低迷によりJ-REITによる公募増資は減少し、Q3末までの累計で19件と前年同期を4件下回り、調達額は20%減の3,513億円にとどまった。これを受けてJ-REITによる不動産投資額も9,860億円と、前年同期に比べて8%減少。全投資額に対する比率もQ3末時点では39%で、前年同期の48%を下回った。

 

商業施設、地方都市のオフィス利回りも低下

一方、投資家の投資意欲は相変わらず高く、利回りは低下傾向にある。2017年の東京の主要アセットの期待利回りは、全タイプで調査開始以来の最低値を更新した。2017年10月調査で前年同期に比べてもっとも大きく低下したのはマンション(ファミリータイプ、城東・城西)で、20bps低下した。他のアセットタイプも10bpsから15bpsの低下となった。

 

商業施設(銀座中央通り)の利回りに至っては、それまでアセットタイプの中でもっとも低かったオフィス(大手町)を下回った。地方都市のオフィス利回りも低下している。主要8都市のオフィス期待利回りは2017年10月時点で前年同期から18bpsから30bps低下、そのうち6都市が2003年7月調査開始以来の最低値にある。

 

[図表1]主要不動産投資(四半期別)

注:10億円以上の取引を対象J-REITによるIPO時の取得物件を除く
出所:RCA、CBRE、2017年11月
注:10億円以上の取引を対象J-REITによるIPO時の取得物件を除く 出所:RCA、CBRE、2017年11月

[図表2]J-REITによる公募増資額と株式市場

注:IPOを除く
出所:Datastream、CBRE、2017年11月
注:IPOを除く 出所:Datastream、CBRE、2017年11月

[図表3]期待NOI利回りの推移(東京)

注:投資家調査にもとづく
出所:CBRE、2017年10月
注:投資家調査にもとづく 出所:CBRE、2017年10月

 

[図表4]オフィス期待NOI利回り(地方都市)

注:下限値(中央値)と上限値(中央値)の平均
出所:CBRE、2017年10月
注:下限値(中央値)と上限値(中央値)の平均 出所:CBRE、2017年10月

CBRE日本法人は、不動産賃貸・売買仲介サービスにとどまらず、各種アドバイザリー機能やファシリティマネジメント(FM)などの18の幅広いサービスラインを全国規模で展開する法人向け不動産のトータル・ソリューション・プロバイダーです。CBREの前身となった生駒商事が1970年に設立されて以来、半世紀近くに亘り、日本における不動産の専門家として、全国10拠点で地域に根ざしたサービスを展開してきました。

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CBREグループ(NYSE:CBG)は、「フォーチュン500」や「S&P 500」にランクされ、ロサンゼルスを本拠とする世界最大の事業用不動産サービス会社です(2016年の売上ベース)。全世界で75,000 人を超える従業員、約450 カ所以上の拠点(系列会社および提携先は除く)を有し、投資家、オキュパイアーに対し、幅広いサービスを提供しています。不動産売買・賃貸借の取引業務、プロパティマネジメント、ファシリティマネジメント、プロジェクトマネジメント、事業用不動産ローン、不動産鑑定評価、不動産開発サービス、不動産投資マネジメント、戦略的コンサルティングを主要業務としています。

写真は、リサーチ エグゼクティブディレクターの大久保寛氏。
CBREのリサーチ部門の責任者として、オフィス、物流施設、商業施設の賃貸市場ならびに売買市場のリサーチ業務を統括。製鉄会社および投資銀行勤務を経て1997年から2013年まで証券アナリストとして株式リサーチ業務に従事。2000年からはJREITを中心に不動産セクターを担当。UBS証券、ゴールドマンサックス証券、マッコーリーキャピタル証券、みずほ証券を経て、2013年10月より現職。

著者紹介

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