地方都市のオフィス賃料は、今後2年間は上昇が続く!?
都心のオフィス賃料は上昇余地が限定的という見方が投資家の間でも広がりつつある。キャッシュフローの今後の成長見通しの不透明から、買い手はより慎重になるだろう。なお、CBREによる投資家調査によれば、不動産投資家の48%が、東京の不動産価格は今がピーク(「好況期→後退期」)と回答している(図表1)。
一方、東京とは逆に、地方都市においては札幌、京都、福岡を中心にオフィス賃料の上昇は加速している。CBREでは、地方都市のオフィス賃料は、今後2年間は上昇が続くと予測している(図表2)。地方都市の利回りについての投資家の見立ても、引き続き低下傾向にある。
[図表1]投資家のマーケット(不動産価格)の認識-オフィス(大型)
[図表2]オフィス都市別賃料と空室率の予想(2017 -2019)
不動産業向けの貸出額も頭打ちの様相
投資家の資金調達環境も変化しつつある。前述のとおり、株価下落によりJ-REITの公募増資が減少したほか、不動産業向けの貸出額も頭打ちの様相を帯びてきた。全業種に占める不動産業向け新規貸出額の割合は2016年に27%に到達してからはほぼ横ばいで推移している。貸出額も2017年6月期には6四半期ぶりに前年同期を下回った。金融機関の融資可能額が投資家の希望する額に届かないケースが散見されるなど、金融機関がより慎重になっている様子が窺える。
CBREの推計によると、2014年以降アジア太平洋地域でクローズドエンドファンドが調達した資金は、レバレッジ後で総額1,160億ドルと推計される。そのうち、これまでに投資されたのが約6割で、日本に対してはオーストラリアに次いで2番目に大きい150億ドルが投資されたと推計される。残りの資金はアジアの先進国を中心に投資される見込みで、なかでも日本はコア・コアプラス、バリューアッド投資案件に資金が流入するとみられている。
[図表3]全産業への新規貸出金に占める不動産業の割合