前回に引き続き、銀座ハイストリートのリテールマーケットの動向を見ていきます。※ロサンゼルスを本拠とする世界最大の事業用不動産サービス会社のシービーアールイー株式会社(CBRE)。本連載では、そのリサーチ部門が世界の不動産市場の最新情報をお伝えします。

賃料は2018年Q4に底を打ち、ゆるやかな上昇へ

銀座の主要エリア全体を対象とした銀座ハイストリート賃料(プライム賃料を含む)は、2016年Q2をピークに弱含み、直近2017年Q3は概ね2014年の水準に戻っている。今後は、およそ1年の間にさらに7%程度下落し、2018年Q4に底を打ってゆるやかな上昇に転じると予測する。


2018年Q4まで賃料が弱含むと考える理由は、以下の2点である。

 

まず1つは、ハイストリートの中でも、エリアによっては競争力が低下しているということだ。もっとも大きな要因は、中央通りに開業した「ギンザシックス」の影響で、人の流れが変化したことである。来店者の滞留時間が長い同施設とその周辺には出店ニーズが多く集まる一方、「ギンザシックス」から離れたエリアの中には引き合いの弱いところもあり、一部では賃料水準が低下している。

 

もう1つは、銀座4丁目の交差点に近い超一等地を対象としたプライム賃料も、小幅ながら下落する可能性があることだ。現賃料はすでにリーマンショック前の水準を約2割上回っており、インバウンド需要を背景とした出店競争に一服感が出た足下では、やや割高感がある。

賃料は2019年末まで上昇傾向が続くか

ただし、直近では、オーナーの希望賃料でテナントが決定した事例も散見されている。ブランディング戦略上、プライム立地であれば高額な賃料をいとわないというリテーラーは複数存在している。

 

また、現行の株高が続き、為替に大きな変動がなければ、高額品の売り上げは今後も堅調に推移しよう。加えて、労働需給のひっ迫から実質賃金がプラスに転じ、消費全般が回復することも考えられる。したがって、プライムならびにセカンダリーエリアの賃料の調整が一段落すれば、賃料の下落幅は次第に縮小しよう。

 

2018年Q4に上昇に転じた後は、2020年の東京オリンピックを見据えた出店ニーズがさらに高まるとみられるため、賃料は2019年末まで上昇傾向が続くと予測する。

 

[図表3]銀座ハイストリートの賃料予測(2017年Q4-2019年Q4)

出所:CBRE、2017年11月
出所:CBRE、2017年11月

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