不動産投資は「物件を買う」ことがゴールではない
無事に決済が完了すれば、晴れて一棟物件のオーナーとなります。しかし、ここで初心者の人に勘違いしてほしくないのですが、物件を買うことがゴールではありません。不動産投資において物件を持つことはスタートラインに立っただけのことです。
ここで大切なのは、購入した一棟マンションをきちんと運用するということです。これからの長い期間、いかに物件を適切に運営し、堅実にキャッシュフローを残していくかが重要となります。
前章で書いた物件の選定基準も重要ですが、それと同じくらい、この連載で紹介する管理運営の極意も投資の成否を分ける大事な要素です。
初動でしっかり手をかけるのが「満室」への近道
もし物件の購入時に空室があれば、まずそれを埋めるのが初めのミッションとなります。その際に、空室がインターネットでしっかり入居募集されていることを前提に、空室がどのような状態なのか確認します。
その際に部屋が古びていたり修繕が必要であったりすれば、リフォームをしなくてはなりません。オーナーによっては物件を購入したばかりということもありコストを惜しんで、必要最低限の修繕で終わらせるケースが多いようです。
私の意見を言えば、空室の修繕を中途半端にするよりはある程度コストをかけてバリューアップし、なおかつ客付け会社にADと呼ばれる広告料を手厚く払ったほうが客付けが有利に進みます。
つまり、初動でしっかり手をかけるのが満室への近道です。
なお、私の会社のように不動産会社が売主となるケースでは、空室に関してはきちんとリフォームをしてから引き渡しをしています。そのため、空室のリフォームをオーナーが行う必要はありません。
引き渡しをして半年後に退去……というケースではオーナー自身の手配が必要ですが、購入したばかりでの出費はないのです。
加えて、2年間は前述の瑕疵担保責任により、雨漏りなどの見えない瑕疵(欠陥)が発生した場合にも責任を持って修繕します。
これが売買仲介で売主が一般の人であれば、瑕疵担保は3カ月程度、空室についてもそのまま渡しが基本です。この場合は、購入後の修繕リスクが高まるので、事前にそのための資金を用意するなど対策が必要です。