地球温暖化により世界中で異常気象が起こる昨今、サンフランシスコにはどんな影響が予想されるのでしょうか。今回は、サンフランシスコ不動産投資で踏まえておきたい「浸水」の危険性について探ります。

必ず調べたい「洪水の危険性がある」地区

前回は、商業向け短期つなぎ不動産融資の仕組みについて説明しました。今回はサンフランシスコ・ベイエリアにおける、地球温暖化による慢性的な水没地区についてお話しいたします。

 

米国南部・中西部では、秋のハリケーン・シーズンに大きな被害を受ける傾向にありますが、米国西海岸は雨季になる冬から春にかけて被害を受けます。

 

特に北部のワシントン州からオレゴン州にかけては、しとしとと雨が降る日が多くなりますが、サンフランシスコ・ベイエリアでも大小の差はあれ同じ現象が見られます。ただし、今シーズンはラニーニャの影響で例年になく乾燥した冬となっているようです。

 

以下の図表1の降水量推移を見ると、雨期である12月から3月の降水量が、年間降水量の60〜80%を占めていることがわかります。

 

[図表1]過去10年間サンフランシスコ地区降水量推移(単位:インチ〔=2.54センチメートル〕)

出所:National Weather Service [米国政府機関]
出所:National Weather Service [米国政府機関]

 

米国国家安全局連邦非常事態管理機関に、洪水危険地区にあるか否かを住所で検索できるウェブサイト(https://msc.fema.gov/portal)があるので、もし不動産投資を検討している場合は、洪水の危険性がある地域か、どのくらいの確率で洪水が起こるのかを事前に確かめるのが無難です。

 

もちろん不動産仲介業者は、その物件が洪水危険地区にあるかどうかを情報開示する義務があるので、不動産仲介業者に照会しても良いでしょう。

今世紀末にはシリコンバレーが水没する可能性も!?

地球温暖化が叫ばれ、異常気象が頻繁に起き、北南極の氷が一段と解けてなくなっている状況のなか、中長期的な海水面の上昇が懸念されています。

 

マサチューセッツ工科大学の科学者たちで組織された、Union of Concerned Scientists('UCS', www.ucsusa.org/RisingSeasHitHome)によって昨年夏に発表された研究結果では、全米主要都市・地区で将来的に高頻度で浸水する都市・地区を予測しています。彼ら曰く、今世紀末までに最悪約4フィート(=1.20メートル)海水面が上昇する可能性があるとのこと。

 

サンフランシスコ・ベイエリアでは、以下の地図のようにサンフランシスコの一部、イーストベイ(サンフランシスコの東対岸)、ノースベイ(サンフランシスコの北湾岸側)、サウスベイ(サンフランシスコの南湾岸側)で水没の可能性があります。

 

[図表2]【平均シナリオ】サンフランシスコ・ベイエリアにおける年26倍以上で起こる洪水危険地区

参考:
濃い青い部分が洪水危険地区(イメージ)です。
参考ページ:https://www.ucsusa.org/sites/default/files/attach/2017/07/when-rising-seas-hit-home-california-fact-sheet.pdf

 

当該研究では、早ければ2060年よりサンフランシスコ対岸のアラメダ(海軍基地のある島)が浸水し、今世紀末までにノースベイ・サウスベイ(シリコンバレー)まで浸水していくという結果となりました。

 

サンフランシスコ市内には、新たに埋め立てられたUCSF医学部があり、高級住宅街が立ち並ぶミッションベイ地区、またハンターズポント地区も浸水するとのこと。

 

ノースベイではノバト、バレホが。ペニンシュラではサンマテオが。サウスベイ(シリコンバレー)ではパロアルト、イーストパロアルト、オルビソ(サンノゼの北)、ミルピタスが頻繁に浸水する可能性があるようです。

 

[図表3]【最悪シナリオ】SFベイエリアにおける各都市の浸水割合

出所:Union of Concerned Scientists〔MIT研究機関〕
出所:Union of Concerned Scientists〔MIT研究機関〕

 

※本記事の内容は筆者個人の分析・見解です。

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