高額な医療費の払い戻しも受けられる高額療養費制度
■高額療養費制度
1カ月(1日から月末まで)の医療費の自己負担額が一定の上限に達した場合、超過分が申請によって払い戻される制度です。多額の医療費がかかっても払い戻しが受けられるので、対象になる世帯はぜひ申請してください。
負担の上限額は「保険の加入者が70歳以上かどうか」や「加入者の所得水準」に応じて分けられます。70歳以上の人には、外来だけの上限額も設けられています。
なお、2015年1月から制度が改正され、70歳未満だと上位所得者(年収770万円以上)は自己負担額が増えた一方で、一般所得者(年収370万円未満)は自己負担額が軽減されています。
高額療養費制度では、複数の受診や同じ世帯にいるほかの人の受診について、窓口でそれぞれ支払った自己負担額を1カ月単位で合算できます。ただし、たとえば健康保険の被保険者(50代の会社員など)と、後期高齢者医療制度の被保険者(80代の高齢者など)が同居している場合、それぞれの医療費は合算の対象とはなりません。
また、直近の12カ月間に、すでに3回(3カ月)以上高額療養費の支給を受けている場合、さらに最終的な自己負担額が軽減されます。
[図表1]高額療養費制度の自己負担限度額
上限を超えた介護費を払い戻す高額介護サービス費制度
■高額介護サービス費制度
介護保険は、所得に応じて1~2割の利用者負担になります。しかし、介護保険を利用して支払った自己負担額が一定の金額を超えた時に、申請すればその分の金額が後日自治体から払い戻されます。この仕組みを「高額介護サービス費制度」といいます。
「一定の金額」は、介護保険負担限度額認定の段階によって異なります。
高額療養費と同じ負担軽減の制度ですが、こちらのほうはあまり知られていません。申請しなければすべての利用者が「現役並み所得者」の上限に設定されてしまいますので、対象になる場合は必ず申請しておきましょう。
手続きは自治体の窓口で行います。介護サービス利用時の領収書が必要になるので、捨てずに保管しておきましょう。払い戻しは手続きの約3カ月後に行われます。
あくまで「介護保険の対象費用の利用者負担額」が対象になるので、食事代・居住費・施設サービスにおける日常生活に要する費用(教養娯楽費など)は対象になりません。
[図表2]高額介護サービス費の自己負担上限額