今回は、企業の不祥事発生を撲滅するための「3つのステップ」などを紹介します。近年、多くの企業の不祥事が明るみに出ています。なぜこのようなことが繰り返されてしまうのか、防ぐためにはどのような対応策があるのかを、各種トラブル・事故の未然防止普及に取り組む未然防止研究所代表、林原昭氏が解説します。

要求レベルが高すぎるルールは「見直し」も必要

2017年10月初めころから、相次いで企業の不祥事が報道されました。この不祥事は今に始まったことではなく、過去何度も繰り返されてきたものです。そのたびに再発防止が叫ばれてきましたが、果たしてその効果はどうだったのでしょうか。

 

<なぜ不祥事が起こるのか?>

 

1.ルールを勝手に曲げる

データ改ざんの事案では、顧客と取り決めた品質基準を自社の勝手な論理で曲げていました。顧客の要求レベルがどういう経緯で決まったにせよ、当該製品を供給する側が、理由の如何を問わず、勝手に顧客が要求している品質レベルを落とすことは許されません。

 

顧客の品質要求レベルが、“100”と定められているとき、以下の図表に示すように、安全率を加味しさらに安全代を考慮して「想定外を想定」しているので、現状レベルが“98”でも大丈夫という感覚が働くのでしょう。しかし、最終製品での影響度合いを確認せず、なぜ「大丈夫」と言えるのでしょうか?

 

 

2.結果は手段を正当化しない

不祥事に至る経緯を考えてみます。いきなり不祥事は起こりません。最初何らかの業務上のトラブルが発生し、その根本原因を追究せず、きちんとした再発防止対策も取らず、安易な対策に走ったのでしょう。それが一度うまくいくと、組織・時間を超えて広がり、もう後戻りできない状態となり不祥事に至るのではないでしょうか。

 

つまり、初動を間違えているわけです。一般的に我々人間は面倒なことを好みません。安易な方法で一度うまくいってしまえば、それを振り返ろうとはしません。ここに「結果良ければすべてよし」の間違いがあります。

 

「納期を守る」という結果を得るために、「品質を犠牲にする」という手段は良しとはされません。すなわち、「結果は手段を正当化しない」ということです。

 

3.守れないルールなら見直しを検討

顧客の要求レベルから外れた根本原因を追究し再発防止対策を講じても、その要求レベルを達成できないのであれば、要求レベル見直しの検討を顧客に提案することが必要かもしれません。

 

この場合、前述したとおり根本原因追究と再発防止対策実行が前提ですが、本来の姿としては、最初に顧客と契約する際、品質レベルを徹底的に検討すべきです。

 

日産自動車とスバルで起こった無資格者による完成車検査でも同じことが言えます。今後の完成車検査はどうあるべきか、そしてその検査員の資格・技量をどのように標準化するかを各自動車メーカーの実態調査を踏まえて、国土交通省と議論していくべきでしょう。

 

ルールは時代の変化に追従すべきです。法令順守は当然ですが、守れないルールの見直しも必要だと思います。

緊急対応・再発防止・未然防止で不祥事を「撲滅」

<如何にして不祥事を撲滅するか?>

 

①未然防止3ステップで不祥事撲滅

 

著書『なぜあなたはいつもトラブル処理に追われるのか』で、未然防止3ステップを紹介しています。実際に起こった業務上のトラブル・事故をきっかけに、3つのステップで未然防止を実行して、将来のトラブル・事故を根絶する方法です。

 

その3ステップは次の通りです。

 

第1ステップ(緊急対応):トラブル・事故の事実を正しく捉えて、報告する。そして初動を間違えないこと。

 

第2ステップ(再発防止):トラブル・事故の根本原因追究と再発防止対策の実行。そしてその対策の効果を検証すること。

 

第3ステップ(未然防止):再発防止での教訓をもとに、将来リスクに気付いて対策すること。

 

緊急対応だけで終わらず、3つのステップを実行することで不祥事を撲滅できます。さらには、その活動が企業の体質強化につながることでしょう。

 

②根本原因と再発防止・未然防止対策を公表すべき

 

大きな事故や不祥事が起こると、謝罪会見で「再発防止に努めます」という説明をよく聞きますが、ここでは「未然防止に努めます」と言うべきです。

 

もしこの会社で将来同じような事故や不祥事が起こるとすると、その関係者や原因は同じではありません。過去と全く同じことが将来起こる確率は極めて低いからです。だから未然防止が必要なのです。

 

もう1つ重要なことは、その内容はきちんと公表すべきです。他社の不祥事を「対岸の火事」とせず、その公表によって、自社の問題として振り返ることで日本全体の企業レベル向上が期待できます。「他社のふり見て、自社のふり直せ」を実行して頂きたいと思います。

 

③異常に対する感性を磨く

 

法令を破る、データを改ざんするという行為は、ビジネスの感性からして許されません。では、なぜそれが見過ごされるのでしょうか。是非この点の根本原因を追究して頂きたいと思います。

 

会社によって企業文化が異なるので、一般化することは難しいですが、1つ言えることは異常に対する感性が鈍っていることが考えられます。その対策として、組織横断的なチーム活動や外部からの視点も必要です。

 

一番重要なことは、常に品質が優先されることです。QCD (Quality, Cost, Delivery、品質、コスト、納期)が大切だと言われていますが、“QCD”は同列ではなく、“Q”があっての“C”と“D”です。つまり、品質を達成することが前提で、コストと納期を遵守すべきです。

 

どんな企業文化であっても、品質優先の考え方は同じです。この点を、是非とも経営トップから現場の隅々まで共有して頂きたいと思います。

 

未然防止の考え方や、未然防止3ステップなどのより詳しい内容については、著書『なぜあなたはいつもトラブル処理に追われるのか』をご覧ください。

 

なぜあなたはいつもトラブル処理に追われるのか

なぜあなたはいつもトラブル処理に追われるのか

林原 昭

合同フォレスト

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