「製作途中の不具合」であっても報告を徹底させる
前回の続きです。
③製作時
この段階が自社での最終工程となります。つまり、ここまではトラブルがあっても自社内での対応となり、顧客には迷惑が掛かりません。設計段階までは製品が実際の形として見えにくいことがあっても、製作してみて初めてトラブルに気付くことがあるかもしれません。
また、製作途中で、設計の不具合や製品そのものの不具合に気付くかもしれません。たとえ小さな不具合であっても、設計部門にフィードバックしてください。
その際、担当者同士の連絡ではなく、製造部門と設計部門間の社内の正式な連絡ルートで情報を交換することをお勧めします。必要なら営業部門も巻き込んでください。担当者同士だと、その力関係で対応が遅くなるかもしれません。
設計部門としては、もうすでに図面を完成させていて、製造部門に引き渡していることから、今さらフィードバックをもらっても、動きたくないという心情があるかもしれません。ましてや、設計部門が超多忙な状況では、その不具合情報に対するアクションが後回しにされることでしょう。
しかし、この段階で不具合情報の対応に時間を要しても、顧客サイドでトラブルが発生することを考えれば、はるかに少ない時間と安いコストでの対応が可能となります。この製造部門から設計部門へのフィードバックはきちんと社内の公式資料として、記録に残してください。その際は、各部門の責任者のサインか捺印が必要です。
もう1つ重要なことは、製品完成後の出荷前検査です。完成品が顧客の要求事項を満たしているかどうかの最終確認です。このとき、製造部門だけでなく、営業・設計部門にも立ち会ってもらい、他者目線でチェックするとトラブルを発見できる確率が上がります。
その際、検査記録を残してください。関係部門の責任者が検査結果を承認したという証として、この検査記録にもサインか捺印が必要です。この記録を顧客に提出するかどうかは、契約に依存するでしょう。
繰り返しになりますが、この段階が社内でのトラブル対応の最後の「砦」となります。ですから、顧客サイドでトラブルが発見されないよう、製品出荷前にきちんと対応することが大切です。
納品時は、顧客・製作会社立ち会いで製品の品質を確認
④納品時
この段階では、製品は顧客サイドに届いていますので、不具合が見つかると大きなコストがかかります。しかし、そのコストをこれ以上大きくさせないためには、やるべきことがあります。それは、顧客サイド、製作会社サイドの両社立ち会いのもと、製品の品質を確認することです。
そこで、両社が確認してOKなら、引き渡し完了となります。ただし、製品の内容によっては、試運転等が必要となり、引き渡しまでにもう少し時間がかかるかもしれません。
ここで良くないことは、納品後かなり時間が経過してから、顧客からクレームの連絡が来ることです。こうなると、その事実を確認するのに時間やコストがかかり、さらなるクレーム対応の費用が必要となります。また、その不具合の原因が顧客にあるのか、製作会社にあるのか、責任の所在があいまいになる場合があります。
起こってしまったトラブルには対応しなければなりませんが、そのコストを少しでも低く抑えるために、先手先手の対応が求められます。