第4次産業革命に乗り遅れれば、外貨獲得モデルは崩壊
前回の続きである。もし仮に、日本の人口が中長期に減少していく中で、旧い体制や規制が足枷となり、第4次産業革命に乗り遅れたならば、これまで築き上げた独自の外貨獲得モデルはいずれ機能不全に陥ることになる。
すると「貯蓄率の低下」「財政赤字の膨張」が起点となって、日本の資金繰りが著しく悪化する可能性が高い。
2040〜50年に財政破綻か? 日本は長期停滞不況国へ
以下の図表で示すのは、フィスコで実施したシミュレーションである。変数は人口成長率のみ、2016年度から対前年比でマイナス成長すると仮定した。推計結果だが、外貨準備は2030年には2015年比で19兆円減の約104兆円まで減少する。
また、家計金融資産残高は2030年に約1632兆円、対外純資産残高も291兆円といずれも減少する見込みだ。一方、政府債務残高は2015年比で221兆円増の約1458兆円へと膨れ上がると予測する。
この状態を企業経営の安定性を判断する自己資本比率の尺度に照らしてみると、国の自己資本比率は2030年に28%、2040年には18%、2050年には8%と著しく悪化していくことが理解できる。
この過程において、人口減少による貯蓄率の低下、経常収支の赤字転落。そして海外機関投資家の台頭という経路と、財政赤字が膨張し、穴埋め不能な水準に達したことで国債の信用力が低下するという経路が重なり、国の信用力が懸念されるかもしれない。
すると、国債価格が下落、追い打ちをかけるように投資家の損失切りが浴びせられれば価格は暴落。国債の買い手がいなくなり、政府の資金繰りが行き詰まることになるだろう。
日本は今、まさに未来に向けて策を講じなければ、2040〜50年に財政破綻の危機に直面する状況にある。資金繰りが行き詰まってしまった状況に陥った日本は財政破綻への道をたどるしかない。長期停滞不況から逃れることはできない。