前回に引き続き、日本を待ち受ける「黄金期シナリオ」とは何かを見ていきましょう。今回は、シェアリング事業等の成功がもたらすものを説明します。※本連載は、金融情報全般を扱う大手情報配信会社、株式会社フィスコ監修の『FISCO 株・企業報 2017年冬号 今、この株を買おう』(実業之日本社)の中から一部を抜粋し、「第4次産業革命」以降の日本経済のゆくえを探ります(分析:株式会社フィスコIR取締役COO・中川博貴氏)。

日本はリアルデータ・プラットフォームの覇者に!?

前回の続きである。第4次産業革命がもたらす競争の第二幕として「リアルデータのプラットフォーム」事業に挑戦し、成功する企業が誕生する。

 

リアルデータプラットフォームとは実空間の情報を取得・解析・活用するためのアプリケーションか、データベースにちがいない。

 

現場や市場で実際に起こっていることを丁寧に拾い上げ、データを蓄積し、企業や産業の枠を超えてデータを共有および活用するプラットフォームが形成される。これが実現すれば、あらゆる分野に日本初の革新的な製品やサービスが提供されることとなる。

 

さらに、第4次産業革命の社会実装が進むことで、業種の垣根を超えた協業が続々と誕生していく。同業他社の再編に加え、全く別の産業も吸収し、新たなサービスプラットフォームの創出が拡大していくだろう。

 

例えば、経済産業省経済ビジョンでは、自動車、ドローン、情報サービスが再編される場合、自動車業界が再編され、かつバスやタクシーなど交通産業も再編される。その結果、無人交通サービスへと再定義されていくかも知れない。

 

すでに、この動きは始まっている。例えば、交通弱者の増加が予測される地域交通の課題を解決すべく、ディー・エヌ・エー〈DeNA:2432〉と横浜市が共同で「無人運転サービス・AIを用いた地域交通課題解決プロジェクト」を17年4月に実証実験として開始している。

 

また、シェアリング事業が再編され、「ライド・シェアリングサービス」も誕生。実際にゼネラルモーターズ(GM)とリフト(Lyft)は2016年5月、ライド・シェアリングサービスに自動走行機能付き電気自動車(EV)を利用する実験を1年以内に開始すると発表するなど、大手自動車メーカーと配車サービス大手との提携が加速している。

 

 

日本の強みを生かしたハードウェア分野が成功し、産業用ロボットプラットフォームが誕生すれば幸先は明るい。さらに金融資産を世界で2番目に多く所有する日本ならでの特徴を活かし、フィンテック領域にて新しい金融ソリューションのビジネスプラットフォームの確立を狙うのも筋は悪くない。

社会課題解決型のビジネスが誕生

先にも述べたように、これが実現すればAIやロボットなどの出現で労働代替率が進む一方、産業構造の再編によるビジネスプロセスの変化が新たな雇用を創出する。こうした就業構造の転換に対応した人材育成や流動性のある労働市場の整備が必要になるだろう。

 

また、日本は少子高齢化の先進国であることをチャンスと捉え、社会課題の解決に資するビジネスプラットフォームも誕生する。「健康を維持する、生涯活躍する」分野では、3Dプリンタなどを駆使した健康寿命の延伸や、クオリティ・オブ・ライフ(QOL)を最大化するナノテクロジーと融合した医療サービスも誕生する可能性はある。

 

 

また、「地方経済の疲弊」の課題解決に向けた「街づくりに関するデータ×AI」や、エネルギーの高効率化、安全・安心サービスの高度化の実現を目指すのも成長ポテンシャルはある。これらには、海外から資金やヒト、モノを調達し、独自のビジネスモデルを海外に輸出して外貨を稼ぐというビジネスモデルへの転換が果たせる可能性がある。

 

この話は次回に続く。

FISCO 株・企業報 2017年冬号 今、この株を買おう

FISCO 株・企業報 2017年冬号 今、この株を買おう

株式会社フィスコ

実業之日本社

フィスコ 世界経済・金融シナリオ分析会議 本誌掲載の「日本経済シナリオ」の執筆を行った、フィスコ 世界経済・金融シナリオ分析会議とは、フィスコ・エコノミスト、ストラテジスト、アナリストおよびグループ経営者が、世…

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