今回は、世界の仮想通貨取引に占める「日本円」のシェアなどを探ります。※本連載は、金融情報全般を扱う大手情報配信会社、株式会社フィスコ監修の『FISCO 株・企業報 2017年冬号 今、この株を買おう』(実業之日本社)の中から一部を抜粋し、「第4次産業革命」以降の日本経済のゆくえを探ります(分析:株式会社フィスコIR取締役COO・中川博貴氏)。

日本、韓国、中国・・・仮想通貨対応の動きは?

2017年9月29日、韓国金融委員会(FSC)が同国内におけるICO(Initial Coin Offering、仮想通貨技術を利用した資金調達の一種)と、仮想通貨の証拠金取引を禁止することを発表した。

 

この韓国の仮想通貨関連の規制に先立ち、中国ではICOの禁止と共に仮想通貨に関するすべての取引を10月末までを目途に禁止するという措置が明らかとなっていた。

 

しかしこの動きと反するように、日本では9月29日に金融庁による仮想通貨交換業者11社の登録が行われ、今後は金融庁監督のもとにKYC(顧客の身元確認)やアンチ・マネーロンダリング(資金洗浄)に取り組むこととなった。さらに、10月から金融庁は「仮想通貨モニタリング長」というポストを設けて専門チームがICOの対応に乗り出している。

ビットコイン取引は、日本のシェアが60%に

各国の規制動向を踏まえて、各国通貨が仮想通貨取引に占めるシェアにも変化が生まれている。

 

中・韓の規制以前、ビットコインなどの主要な仮想通貨取引に占める人民元と韓国ウォン建ての取引量の割合は非常に高く、特に人民元は2017年初頭までビットコインにおいて8割以上という圧倒的なシェアであったが、2017年以降の中国規制当局の取り締まり強化においてその様相は大きな変貌を遂げた。

 

10月9日時点のビットコイン取引においては日本円が60.26%、続く米ドルが23.30%、3位以降に韓国ウォン、ユーロ、人民元が続く形であり、日本が過半数を占めるシェアを持つこととなった。

 

 

日本ではさらに、SBIホールディングス〈8473〉やGMOインターネット〈9449〉などの国内企業がビットコインの新規発行作業である「マイニング」に乗り出す。また、サイバーエージェント〈4751〉が仮想通貨取引事業への参入を表明するなど日本のネット大手企業による仮想通貨事業進出が相次ぐ状態となり、これまでは中国が世界の7割強のシェアを占めていた市場に対して打って出る構えだ。

 

この勢力図の変化に、香港の仮想通貨取引所のトーマス・グラックスマン氏は「日本にとって大きなチャンスとなる」と発言するなど世界の業界関係者の注目も集まっている状態だ。

FISCO 株・企業報 2017年冬号 今、この株を買おう

FISCO 株・企業報 2017年冬号 今、この株を買おう

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フィスコ 世界経済・金融シナリオ分析会議 本誌掲載の「日本経済シナリオ」の執筆を行った、フィスコ 世界経済・金融シナリオ分析会議とは、フィスコ・エコノミスト、ストラテジスト、アナリストおよびグループ経営者が、世…

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