日本にとって最も深刻なシナリオ!? 「格差不況」が招く未来

今回は、日本にとって最も深刻なシナリオである、「格差不況」が招く未来について探ります。※本連載は、金融情報全般を扱う大手情報配信会社、株式会社フィスコ監修の『FISCO 株・企業報 2017年冬号 今、この株を買おう』(実業之日本社)の中から一部を抜粋し、「第4次産業革命」以降の日本経済のゆくえを探ります(分析:株式会社フィスコIR取締役COO・中川博貴氏)。

AI等が社会に浸透し、雇用代替が著しく進む未来

次に、日本にとって最も深刻なシナリオを紹介したい。第4次産業革命の到来は日本に明るい未来だけを約束しない。AIやブロックチェーン技術が社会に浸透し、雇用代替が著しく進む未来を想定しよう。

 

ビジネスモデルのイノベーションに成功した企業がグローバル競争の勝ち組となり、旧態依然のままの日本企業が負け組になるかもしれない。そうなれば、企業倒産が相次ぎ、雇用は崩壊。経済格差が極端に拡大する。

 

失業者の増加、税収減少で財政赤字はさらに拡大。高税率への移行は資産保有者たちが海外へ資本を逃避させるきっかけになるだろう。

 

この資本逃避(キャピタル・フライト)は円安・インフレを招くにちがいない。高い失業率とインフレが同時に発生するスタグフレーションまで起きるかもしれない。まさに、没落していく未来だ。

 

経営者も労働者もいない「新たな企業組織体」が誕生!?

最近、ブロックチェーン(分散型台帳)技術やAI、そしてロボットといった先進技術に注目が集まっている。中でも、ブロックチェーン技術は、その応用領域の広さから様々な可能性が考えられ、期待感が高い。

 

ブロックチェーン技術とはデータベースの一部を共通化し、個々のシステム内に同一の台帳情報を保有することができるものだ。この技術を企業が活用することで、これまで直面してきた様々なコストの効率化が可能になる。

 

 

まず、企業には人材や情報、リソースを見つけるための検索コストがある。また、報酬や仕事の条件、秘密保持といった契約を締結するに伴う契約コスト、そしてスムーズに他者と協業するための調整コストなどが代表的だ。企業が存在する一つの意義はこれらのコストを効率化するためだが、ブロックチェーンの活用でこれらのコストを著しく最小化することができる。

 

一つ、具体的な事例を紹介したい。ブロックチェーンを活用したスマートコントラクトだ。スマートコントラクトは、簡単にいうと、社会の契約行為をプログラムによって自動的に実行することであり、この仕組みを企業が採用していけばこれまで以上に取引コストを削減することができる。

 

これは、ブロックチェーン技術に、ある条件が合致した際に自動的に契約の条件確認や履行をデータの改ざんが非常に困難な状態で記録することが可能になるという仕組みがあるためだ。

 

一方、ブロックチェーン技術やAI、ロボットの社会実装が進むにつれて、企業の組織形態にも新しい選択肢が誕生する。一つは経営者はいるが労働者がいない(ロボットが代替する)組織だ。これまで人が担ってきた多くの業務をロボットが代替する。

 

次に、経営者がいないが労働者はいる組織(DAOやDAC)だ。例えば、ビットコインのマイニング作業などが該当する。最後に、経営者も労働者もいない、まさにAIにより完全に自動制御されたサービスを提供する組織だ。

 

DAOについてはすでにいくつかの企業が先行している。例えば、米スタートアップのアーケードシティはブロックチェーン技術をアプリに導入しドライバーとユーザーを直接繋ぐサービスを提供している。

 

利用料金をドライバーとユーザー間で決めることができ、分散型のシステムを利用することでドライバーは独立したサービス提供者になり、個々の判断によるサービスをユーザーに提供出来るという仕組みになっている。

 

また、AIとブロックチェーン技術の融合により、大型コンテナ商船の無人自動操舵も夢ではない。例えば、AIにより安全な最短航路などを導き出す自動運航システムが構築できるほか、ブロックチェーン技術を導入することで貨物の現在位置や記録状況など、輸送の進行状況を確認することができるようになる。

 

このように、仲介者の介在を省略し、自律的に機能するシステムが誕生することで、現在よりもはるかに低コストでのサービス提供が実現可能になる。

 

 

この話は次回に続く。

株式会社フィスコは、株式・為替など金融情報全般を扱う情報配信会社。ロイター、ブルームバーグ、クイックなどプロ向け端末や証券会社のほか、ヤフーファイナンスなど20以上の主要ポータルサイトに情報を提供する、投資支援サービスのプロフェッショナル集団。

写真はフィスコアナリストとして株式市場・個別銘柄や為替市場を担当する田代昌之氏。ビットコインなど仮想通貨についても造詣が深い。

著者紹介

連載AI、仮想通貨・・・「第4次産業革命」以降の日本経済のゆくえを探る

 

 

FISCO 株・企業報 2017年冬号 今、この株を買おう

FISCO 株・企業報 2017年冬号 今、この株を買おう

株式会社フィスコ

実業之日本社

【フィスコ 世界経済・金融シナリオ分析会議】 本誌掲載の「日本経済シナリオ」の執筆を行った、フィスコ 世界経済・金融シナリオ分析会議とは、フィスコ・エコノミスト、ストラテジスト、アナリストおよびグループ経営者が、…

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