世界一のお金持ちでもあり、借金持ちでもある日本
前回の続きである。経済協力開発機構(OECD)によると、日本の2015年の国内総生産(GDP)に対する債務残高の比率は232.4%と米国(111.4%)と比べて約2倍で世界一の高水準だ。
債務は2001年の144.4%からジリジリと増加している。内閣府が発表した2016年度の公債債務残高は約837兆円と、2001年以降増加の一途をたどっている。名目ベースで経済成長率が1%強を継続達成したとしても、2023年度には1200兆円まで膨らむ試算だ。政府債務残高の対GDP比を改善することができず、日本は世界一の借金持ちであり続ける。
日本は経常輸出型立国であり、モノを海外に売って外貨を獲得してきた。また国内非金融部門と金融部門の保有資金は海外の国債や証券などの購入にあてられ、外貨建ての配当などを受け取っている。
この日本が築き上げた外貨獲得モデルの頑健性は非常に高く、結果として対外純資産残高は増加の一途を辿り、2016年度末値で349兆円と25年連続で世界一の高水準を誇る。また、2015年の個人金融資産残高は1809兆円と世界第2位だ。
人口減少、経常収支の赤字転落で「債権崩壊国」に…
しかし、現状の日本が資産大国であっても、これからも資産大国であり続けられるかは疑わしい。繰り返しになるが、日本はゆっくりと人口減少国へ移行する。民間の貯蓄残高は、特に家計部門に起因し、徐々に縮小していくに違いない。
そうであれば、国内の保有資金は徐々に減少し、海外資産の購入原資も減少していく。また、人手不足による企業倒産なども増え、海外に売るモノをこれまでと同程度に生産する能力を維持することが難しくなる。その結果、獲得できる外貨は徐々に目減りするに違いない。
三菱UFJリサーチのレポートによると、貿易収支の黒字幅が縮小した場合、経常収支は早ければ2026年以降に赤字に転落するとの可能性を言及している。経常収支が年間2.5兆円で減少し、2020年以降に人口が本格的に減少した場合、日本は成熟債権国から債権崩壊国へと向かう可能性も否めない。
この話は次回に続く。