今いる場所で「やれること」を探してみる
自分は医療・介護の世界でこんなことをしていきたい。そんな想いを持って飛び込んできたのに、思ったことがやれない。思うとおりの環境じゃない。不本意な人もたくさんいます。世の中はそんなもの。私だって先に述べたようにそう思うことのほうが多かったです。今でも「思うとおりにはいかないよなぁ」と独り言が口を突いて出ることもあります。
それでも、そのなかでやりがいや、こんなこともできるんじゃないかと可能性を見いだしたり、自分の居場所を見つけていく。そこが人間らしいことだし「生きてる」ということじゃないのかなと思います。
本当はもっとほかにやりたいことがあって、それがやれる環境がどこかにあるはず。そう考える気持ちも分かります。でも、それは「外」に要因を求めているわけですから、結局、場所を移っても何も解決しないんですね。
それより、今いる場所でやれることを探してみる。「内」に可能性を探すというか、自分でつくってしまう。そうすると、本当にやりたいことができる環境が整ったときに花開くよ、と言いたい。なぜなら自分で見つけるという経験をしているからです。「外」に要因を求めて、誰かに機会を用意してもらわないと仕事で満足できないという人は、大きな花は咲かせられないのではないでしょうか。
まずは三年、じっくり今の仕事と向き合う
医療・介護の世界では、できることなら思い入れのある一人の患者さん・利用者さんとずっと関わっていたいし、最期まで面倒を見られたらというのが理想です。だけどそんなことは現実的に難しい。
だからせめて関わっている間だけでも、その人らしいこと、その人にとって本当に良いこと、その先のことまで考えたアプローチを考えてください。その〝時間〟こそがとっても大切な時間なんだときっと思うときがくるのですから。
やりたいことというのは、そんなにすぐに見つかるものではないのです。少なくとも3年はじっくり腰を据えて、目の前の仕事に向き合う。そうすることできっと何かが見えてくるはずです。私の法人でも短期間で辞めてしまう人が時々います。あともう少しでやりたいことが見つかるはずだったのに、逆に言えば、見えかけているからこそ焦って先を急いでしまうのかもしれません。
やれることをちゃんと探せるスタッフに共通するのは、自分のことよりチームをすごく大切に思っている点かもしれません。チームのためにはハッキリとものを言う。自分のために言うのではなく、周りのために何かをもっと良くしたいという想いがあって言う。そんな姿を見るのは私はとても好きです。