今回は、日本における洋菓子メーカーの草分けとして業界をリードする「森永製菓」を取り上げます。※本連載では、『株式投資の王道 プロの目利きに学ぶ「良い会社」の見分け方』(日経BP社)の中から一部を抜粋し、投資のプロフェッショナルが選んだ、注目企業の経営戦略の特徴、ビジネスモデルの強み、将来への課題などを考察します。

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1914年、「ポケット用ミルクキャラメル」を発売

●森永製菓(2201)

高付加価値の製品ラインナップで海外市場への本格進出を目指す

 

 

森永製菓は100年以上の歴史をもつ老舗企業です。創業者の森永太一郎氏は伊万里の焼物問屋の息子として生まれ、在庫を売り捌くために単身渡米し、西洋菓子の魅力に出会いました。そして現地の工場でマシュマロやキャラメルなどの製造技術を習得し、帰国した1899年に自分の会社(森永西洋菓子製造所)を設立。自身がキリスト教に入信したという背景もあり、「天使のお菓子」という意味を込めて会社のロゴにエンゼルマークを採用しました。1914年には、当時バラ売りが普通だったキャラメルを紙箱に入れた「ポケット用ミルクキャラメル」を発売し、大人気を博しました。

 

 

その後も、カカオ豆からの一貫製造によるミルクチョコレート、飲用ココア、ビスケット、粉ミルクなど、次々と先駆的な製品を発売し、日本における洋菓子メーカーの草分けとして業界をリードしてきました。

利幅が薄い「日本の洋菓子」だが、大きな可能性も

私がこの会社に着目するようになったきっかけは、とある会合で米国の大手チョコレートメーカーの経営者と同席し、「お菓子は儲かるビジネスだ」という話を耳にしたことです。その会社は、税引後でも利益率が10%を上回っているとのことでした。日本のお菓子メーカーの数字を調べてみたところ、営業損益の段階ですら利益率が2~3%しかないことがわかり、驚くと同時に大きな可能性を感じました。日本の洋菓子は、外国メーカーの製品に比べて見劣りしないどころか、味や品質では上回っているのに、販売価格が安すぎるために利幅が薄い。こうした不自然な状況が解消されて、品質に見合う価格で売ることができれば利益率はもっと高まるはずだと思いました。

 

森永製菓の経営陣もかねてから同じような問題意識をもっていたようで、ここ数年は「安すぎる価格」を是正するための取り組みに力を入れています。具体的には、実質的に赤字だったり利益が少なすぎる販売先を整理したり、より高い価格で販売できる付加価値の高い製品の開発に力を入れるようになりました。たとえば、定番商品のプレミアム版や季節限定版を投入するなど安売りの対象にならないような工夫をして、平均単価を上げていきました。そうした商品施策が徐々に実を結び、着実に利益が出るようになりました。2014年3月期の営業利益(連結ベース)は約38億円でしたが、16年には約115億円に増加。営業利益率は直近では10%近くまで上昇しています。

 

 

最近の取り組みのなかで特に注目すべきは、従来の菓子食品に加えて「健康」というキーワードを打ち出し、付加価値の高い製品ラインナップを開発した点です。とりわけ米国ウイダー社との提携により開発した「inゼリー」シリーズはゼリー飲料市場で約50%のシェアを獲得するなど好調で、こうしたヒット商品の貢献により、2016年4-9月期の「健康」分野の営業利益は前期比61.6%増となりました。

 

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本連載は、2017年4月3日刊行の書籍『株式投資の王道 プロの目利きに学ぶ「良い会社」の見分け方』(日経BP社)から一部を抜粋したものです。最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。
掲載している情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。投資はご自分の判断で行ってください。本連載を利用したことによるいかなる損害などについても、著者ならびに本連載制作関係者はその責を負いません。

株式投資の王道 プロの目利きに学ぶ「良い会社」の見分け方

株式投資の王道 プロの目利きに学ぶ「良い会社」の見分け方

阿部 修平、小宮 一慶

日経BP社

2020年に向けて上昇気流に乗りつつある株式市場で、着実に財産を増やすためには、何をどう考え、どう行動すべきなのか――。日本を代表する「投資のプロ」と「経営のプロ」が、「良い会社」を見きわめるための極意を伝授します…

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