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「ユニクロ」1号店は1984年、広島でオープン
●ファーストリテイリング(9983)
成長の原動力は確かなビジネスモデルと経営者の熱意
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ファーストリテイリングの前身は、現会長兼社長の柳井正氏の生家が山口県で行っていた紳士服洋品店の小郡商事です。当時、父親の本業は土木建設業で、服飾は副業の1つでしかなかったのですが、正氏が入社して事業を引き継ぎ、1984年に従来の店舗とはまったく異なるカジュアルウェアの店として「ユニクロ(ユニーク・クロージング・ウエアハウス)」1号店を広島にオープンしました。
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以後、1991年に商号をファーストリテイリングに変更し、1994年には広島証券取引所に株式を上場、1997年には東京証券取引所の二部上場を果たし、成長を加速していきます。2016年11月末現在ではグループ全体で3221店(うちユニクロ1850店)にまで店舗ネットワークを拡大しています。海外展開も積極的で、2015年には海外のユニクロ店舗数が国内のユニクロ店舗数を上回りました。
ヒートテック、エアリズム・・・高品質が魅力の1つに
私が初めて柳井社長にお会いしたのは1990年代半ばでしたが、自らの事業にすべてを投入するという、経営者としての強い意思を感じました。ユニクロというブランドを開発するにあたって柳井社長が参考にしたのは、アメリカの衣料品小売大手のGAPだと思います。GAPは1986年にSPA(SpecialitystoreretailerofPrivatelabelApparel)というビジネスモデルを打ち出しましたが、これはアパレルにおいて製造から小売までを統合した垂直統合の販売形態を意味します。
それまでアパレル業界では生産と販売が分かれていることは当たり前だったのですが、流行の回転が速いためどうしても生産と販売との間にギャップがあり、仕入れの失敗による在庫過剰が悩みの種となっていました。そうした中でGAPは、顧客に最も近い店舗を擁する自社で企画開発した衣料を自社ブランドで売り出すことに成功し、カジュアルブランドとして世界的な存在にのし上がりました。素材調達から製造、物流、店舗企画までを一貫したブランドのもとに行うSPAの思想は、合理的な考え方の持ち主である柳井社長にとっても、おそらく納得のいくビジネスモデルだったのでしょう。
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またユニクロは、人気ブランドとしての魅力だけではなく、品質が非常にしっかりしている点でもユーザーから高い支持を得ています。防寒機能ウェアの「ヒートテック」や、夏向けの高機能インナーウエアの「エアリズム」などを繊維メーカーと共同で開発し、定番の主力商品としてブランド化することに成功しました。
そうしたビジネスモデルの確かさに加えて、ユニクロの成功の背景には、やはり経営者の個性とビジョン、経営にかける情熱があったのだと思います。柳井社長は日本の経営者としては珍しく、成功しても変化を厭わないというよりも、変化するのが当たり前とでもいうようなスピード感を持って組織の舵取りをしてきました。業績の低迷した1997年には、創業以来の役員の退任を断行し、商社・コンサルティング会社などから人材を登用しましたが、私はそうした果敢な行動を見て、自らの信念に基づいて行動する欧米的な強い経営者だと感じました。
また、何よりも私が感心しているのは、柳井社長は「企業の使命は成長し続けることである」という明確な信念を持っている点です。「服を変え、常識を変え、世界を変えていく」「成長できなければ死んだも同然」などの言葉には、その強い意思が表れています。日本のアパレルメーカーとして世界市場を目指すのが当然であり、さらにグローバルナンバーワン企業を目指すという高い目標を決めた上で目標達成のためのプロセスを明示し、妥協することなく実行していく姿勢に、社員も、そして株主も大いに啓発されるのだと思います。
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