ソフトバンクグループの「ペッパー」開発戦略をどう見るか?

今回は、ソフトバンクグループがヒト型ロボット「ペッパー」に求める役割について見ていきます。※本連載では、『株式投資の王道 プロの目利きに学ぶ「良い会社」の見分け方』(日経BP社)の中から一部を抜粋し、投資のプロフェッショナルが選んだ、注目企業の経営戦略の特徴、ビジネスモデルの強み、将来への課題などを考察します。

世界初の「人間の感情」を理解するロボットとして開発

前回の続きです。

 

IoTや人工知能の発展・普及に対して、仕事や生活を便利にすることが期待される一方で、機械の能力が人間の能力を超え、人間が仕事を奪われるという懸念を抱く人が増え始めています。そのため孫社長もロボットが生産性だけを追い求めるのではなく、人々のために知恵と知識をささげるような存在になる必要があると考えているようです。そして、それを成し遂げるための1つの手段として開発されたのが、ヒト型ロボットの「ペッパー」でした。

 

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通常、ロボットというと、生産ラインで使われるような明確な機能を有しているのが主流ですが、ペッパーはモノを作ったり、運んだりするような機能を備えていません。その代わり、ペッパーは世界で初めての人間の感情を理解するロボットとして開発され、人間とコミュニケーションをとって、少しずつ成長していくという特徴を持っています。ソフトバンクグループは長期ビジョンの説明において、人間にとっての最大の悲しみである「孤独」をなくし、最大の幸せである「感動」を大きくすることをグループのミッションとして掲げていることから、ペッパーはこのミッションに沿う形で、コミュニケーションに力点を置いて開発されたと考えられます。

「プラットフォーム」としての役割に期待

また、戦略的な観点から見ると、ペッパーはそれ自体で収益を上げることより、データの蓄積や技術者との関係性強化など、競争力強化のためのプラットフォームとしての役割が期待されていると見てとれます。人工知能時代にはデータの蓄積が競争優位性を生むと考えられていることから、ペッパーを通じて人間のコミュニケーションに関するデータを蓄積することが後々の開発競争を有利に進めるポイントになります。ARMの買収と同様に、ペッパーのプロジェクトが企業価値を向上させるにはまだ時間がかかると思われますが、10年、20年という中長期的な時間軸の中では、これらの施策がグループ全体に大きなプラスの影響をもたらすことが期待されます。

 

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Highlights

(1)経営トップの「高い志」のもとで一体感とスピード感を保ち、急成長を継続している。

(2)中長期的な時間軸の中で、常に先手を打つような施策に積極的に取り組んでいる。

(3)グループ全体としての時価総額は、保守的に見積もっても割安と考えられる。

 

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スパークス・グループ株式会社 代表取締役社長

北海道札幌市出身。上智大学経済学部卒。米ボストンのバブソンカレッジでMBA取得。

1981年、野村総合研究所に入社後、ニューヨークのノムラ・セキュリティーズ・インターナショナルに出向し、米国の機関投資家向けの日本株のセールスに従事。1985年にニューヨークで独立し、ジョージ・ソロス氏から1億ドル(当時の為替レートで約200億円)の運用を任される。

1989年、日本でスパークス投資顧問(現スパークス・グループ)を設立。2001年に上場。2005年、ハーバード大学ビジネススクールでAMP取得。現在の投資対象は日本の上場株だけでなく、アジアの上場株、再生可能エネルギー発電施設や不動産といった実物資産、そして米国、イスラエル、日本などの未上場企業にまで広がってきたが、投資対象の価格と価値の差に着目し主体的に働きかける投資哲学は一貫している。

プライベートでは作詞、作曲、ギター演奏に加え、絵画も描く。

近著に『暴落を買え!-年収300万円から始める資本家入門-』(ビジネス社 2017/5/24)。

著者紹介

連載株式投資の王道――投資のプロフェッショナルが「注目企業」を徹底分析

本連載は、2017年4月3日刊行の書籍『株式投資の王道 プロの目利きに学ぶ「良い会社」の見分け方』(日経BP社)から一部を抜粋したものです。最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。
掲載している情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。投資はご自分の判断で行ってください。本連載を利用したことによるいかなる損害などについても、著者ならびに本連載制作関係者はその責を負いません。

株式投資の王道 プロの目利きに学ぶ「良い会社」の見分け方

株式投資の王道 プロの目利きに学ぶ「良い会社」の見分け方

阿部 修平、小宮 一慶

日経BP社

2020年に向けて上昇気流に乗りつつある株式市場で、着実に財産を増やすためには、何をどう考え、どう行動すべきなのか――。日本を代表する「投資のプロ」と「経営のプロ」が、「良い会社」を見きわめるための極意を伝授します…

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