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目的達成までの「スピード感」を失わない体制づくり
●ソフトバンクグループ(9984)
未来の技術・サービスを先取り 重点分野に全力投資
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ソフトバンクグループを率いる孫正義社長の経営スタイルは「高い志」という言葉に集約できると思います。早くから情報通信技術の将来性に着目し、さまざまな技術・サービスの中から自分が良いと思ったものを徹底的に市場に広めるという手法で急速に企業規模を拡大してきました。ときにやり方が破天荒であるため、同業者やメディアから批判を受けることもありますが、「情報革命で人々を幸せに」という経営理念を大義として掲げることで、企業グループとしての一体感や、目的達成までのスピード感を失わない体制を築いています。
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パソコンソフトの卸売業で創業して以来、ビジネスモデルをさまざまに転換しながら規模の拡大を進めてきましたが、近年は、主力の通信事業が生み出す潤沢なキャッシュフローを元手に、国内外の有望企業に投資をしてグループ内に取り込むという手法で成長のペースを速めてきました。現在、持ち株会社のソフトバンググループを中核に、ソフトバンク、ヤフー、アメリカで通信業を営むスプリント、中国Eコマース最大手のアリババなど、世界各地の情報通信企業を傘下に抱えています。すべてが成功しているわけではありませんが、将来有望だと考える企業があれば、私たち投資家には無謀と思えるような巨額の対価を支払ってまで手中に収め、新たな地平を切り拓こうとする姿勢にはいつも感銘を受けています。
2016年7月、イギリスのARM社の買収が話題に
また、インターネット事業に関しては、Eコマース、ゲーム、タクシー配車サービスなどの分野で世界中のベンチャー企業への出資を行っており、各地域で急速に成長を遂げています。これらの出資はまだ業績には反映されていないものも多いのですが、保有株の評価額は10兆円を超えるという推計もあり、現時点でのソフトバンクグループの時価総額を上回る規模になっています。
また、2016年7月にはイギリスのARM社の買収を発表し、3兆円を超す巨額買収として話題になりました。ARMは半導体の設計を行う企業で、世界の半導体の3分の1、スマートフォンにおいては9割に組み込まれていると言われており、世界の情報化における核となる企業です。現時点では具体的な事業戦略や既存事業とのシナジー効果などは明確にされていないため、買収金額に見合う投資だったのかという点について懐疑的な見方が多く示されています。それに対し孫社長は、ARMの買収は、現在進行しているIoTの普及や、将来起きると言われているシンギュラリティ(技術的特異点:人工知能が人間の能力を超えること)を見越した上での戦略的な布石であると説明しています。インターネット接続される端末数が、現在の1人2台程度から将来的に1人1000台になると予測した場合、その一つひとつにARMが設計した半導体が採用されるならば、桁違いの成長が可能という見方も示しています。
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