前回は、各電子記録債権機関の持つ特色について取り上げました。今回は、急速に普及しつつある「電子記録債権市場」の展望について見ていきます。

現在の市場規模は14兆円、5年後は60兆円と予想

電子記録債権は急速に普及しつつあり、市場規模は約14兆円に達しています。5年後にはその約4倍である約60兆円にまでなるのではないかと予想しています。これは現在の日本全国の売掛金残高200兆円の3割にあたる金額です。

 

実際、全銀協系のでんさいネットの記録残高は2016年1月から2017年3月までに3.2兆円から4.5兆円へと約37%伸びました。三菱東京UFJ系の日本電子債権機構の残高も同期間で3.0兆円から4.4兆円へと約48%伸びています。5年後に60兆円の市場規模になるという予想も決して大袈裟ではないでしょう。

 

[図表1]電子記録債権の市場規模の予想

各電子債権記録機関の実績およびヒアリングをもとに、Tranzax社が作成。
各電子債権記録機関の実績およびヒアリングをもとに、Tranzax社が作成。

中小零細企業の利用等により、この先も拡大へ

なお、現状における電子記録債権の利用は、大手自動車メーカーや大手建設会社が中心です。これは、従来の手形での支払いや一括ファクタリングを電子記録債権に切り替えているものです。

 

電子記録債権の市場規模が拡大していくなかで、中小零細企業における利用や担保的な利用の拡大が予想されます。

 

[図表2]電子記録債権を使って支払を行っている企業の例

Tranzaxが調査作成
Tranzaxが調査作成
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小倉 隆志

幻冬舎メディアコンサルティング

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