前回は、電子記録債権の注意点を取り上げました。今回は、電子記録債権の運営・管理を取り仕切る機関について見ていきます。

現在、電子債権記録機関は5つある

電子記録債権は、それぞれの電子債権記録機関が管理・運営する記録原簿に電子データが書き込まれることでその効力が発生します。それだけに、電子債権記録機関の役割は非常に重要です。

 

現在、電子債権記録機関には、三菱東京UFJ銀行系の日本電子債権機構株式会社、三井住友銀行系のSMBC電子債権記録株式会社、みずほ銀行系のみずほ電子債権記録株式会社、全国銀行協会傘下の株式会社全銀電子債権ネットワーク、そしてTranzaxグループのTranzax電子債権株式会社という、5つの機関があります。

 

[図表]電子債権記録機関の一覧

 

電子債権記録機関は「株式会社」であることが前提

電子債権記録機関となるには、株式会社として法務大臣と内閣総理大臣の指定が必要であり、次のような要件が法律で定められています。

 

●取締役会、監査役会または委員会、会計監査人をおく株式会社であること

●資本金の額は5億円を下回ってはならない

●純資産額は5億円以上でなければならない

●事業年度ごとに、業務および財産に関する報告書を作成し、主務大臣に提出しなければならない

 

など

 

このように厳しい要件がありますが、株式会社であることが前提であり、もともと複数設置されることが想定されています。

 

この点、法務局の登記所で登記を行不動産登記や法人登記のような公的かつ全国統一的なものではありません。また、電子債権記録機関における記録情報は、不動産登記や法人登記のように誰もが見られるものでもありません。

企業のためのフィンテック入門

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小倉 隆志

幻冬舎メディアコンサルティング

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