数値化が難しい「値動き分析」
この章(※書籍参照)では、値動き分析の基礎的な部分を紹介してきましたが、実践で使えるようになるには、ある程度の経験を積む必要があります。理由のひとつは、数値化するのが難しいからです。テクニカル分析のように過去のデータ数値を使う方法であれば、売買サインを明確に判断することができますが、値動き分析は数値化ができません。為替ディーラーが感覚的に使っているものなので、人によって判断が違うケースもあります。自分で経験を積みながら肌感覚でマスターするしかないのです。
しかし、値動き分析をマスターすれば、ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析では説明のつかない相場の変動も理解できるようになります。
利益に対して貪欲なロンドン勢の手法
第3の分析法として値動き分析を取り入れることでFXの勝率を格段にアップさせることができるでしょう。値動き分析が特に力を発揮するのが相場のストーリーを考えるときです。私の経験からすると、ロンドン市場のスタート時に暴れまわるロンドン勢も値動き分析を利用して莫大な利益を得ているとしか思えません。
彼らは東京市場で積み上がったポジションをつぶして儲けようとします。そのために値動き分析を使って損切り注文のラインを見極めます。また、東京市場での値動きを分析し、ポジションの偏りも判断します。それを判断したうえで仕掛けてきます。たとえば、買いのポジションに偏っていると判断すれば大量の資金で売ってきます。そして、損切り注文が入ったラインまで売り浴びせロスカットをさせます。逆に売りポジションに偏っている場合には、大きな買いを仕掛けて相場を高値に誘導し、損切りをさせます。
ロンドン勢の手法は多くの投資家をいらだたせることもありますが、それだけ利益に対して貪欲だとも言えます。その点は見習うべきかもしれません。値動き分析を理解することで彼らの手口も予測できるようになります。
[図表]