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郊外の空き家対策に有効な「定期借地権での家づくり」とは?

今回は、郊外の空き家対策に有効な「定期借地権での家づくり」について見ていきます。※本連載では、2級建築士・宅地建物取引主任者の齊藤正志氏の著書、『不動産を「加工」する技術』(現代書林)より一部を抜粋し、不動産を有効活用し、次の世代へも継承できる財産を作る「不動産加工」について解説していきます。

マイホームとしての定住者の増加をどう進めるか?

前回からの続きです)

 

そこで私からの提案(不動産加工)になるわけですが、そもそも、街が街として継続するためには、若い人たちが住み、子供が増えて活性化し、そしてまた、次の世代へとつなげていかなければ、継続どころか、街の崩壊、ゴーストタウンになってしまいます。

 

こうなると、不動産の資産価値はなくなり、ますます売買や、賃貸市場がなくなり、資産の消滅になってしまいます。

 

それでは、若い人たちを呼び、住んでもらうためにはどうするかという問題があります。貸家等の一時的な住まいではなく、マイホームとしての定住者の増加をどう進めるかという問題です。

 

そもそも、街が活性化していかないと、あまり人が集まって来ないものです。そして老人ホームとしての利用もいいですが、街には若い人たちは、ますます住まなくなるだろうと考えられます。

 

さて、本題に入ります。私の提案は、定期借地権の活用です。これについて解説します。

 

まず、空き家にしている所有者側から見ると、不動産を売りたいが希望通りで売れないし、安価で売るのも嫌だし、建物を解体して更地のほうが売りやすいが、解体費も相当かかるし……。

 

さらにはこの家には、思い出がいっぱい詰まっているし……などとなかなか、踏ん切りがつかないというのが現実だろうと思います。

「建物を解体して土地を貸す」という選択肢

一方、これからマイホームを持ちたいという若い家族たち側です。

 

近年は、私が住んでいる盛岡でも、土地を購入し、家を建てると3000万円から5000万円かかります。もっとも土地の場所や広さ、利便性、建物の大きさ、内容によってまちまちですが、このうちおおむね3分の1程度が土地の価格で、それ以外が建物代です。

 

もし土地代がかからなければ、もっと大きい家を建てることも可能だし、ローンの返済も安く済むことができ、安心して家を建てることができます。

 

ここで定期借地権での家づくりです。前述のように、空き家にしている所有者と安価で家を建てたい家族を結びつければ実現できるのです。空き家の所有者は先に書いたように悩ましい現実がありますから、それを借地にすればいいわけです。空き家を放置していると、固定資産税はかかるし、強制的に解体されることもあります。その際、解体費の請求をされたり、ご近所に迷惑をかけたり、自分たちも歳をとっていくし……といい結果は生まれてきません。それならいっそのこと、建物を解体して土地を貸すという選択肢があるわけです。当面は貸しておいて、将来その貸した方から購入したいといわれるかもしれないわけです。

 

当然、借りた方がその上に家を建てれば土地の固定資産税は6分の1に軽減されるわけです。

 

では、解体費は?ここで提案ですが、所有者、土地を借りて家を建てる人、その工事を請け負う工事業者、それに役所が応分に負担すれば所有者も負担が少なくなり、それぞれにメリットがあるはずです。

 

もう一つの問題は、住居には思い出が詰まっているということです。

 

これは本人の、踏ん切りと決断でしかありません。あまり時間をかけすぎると、自分が思い出になってしまうかもしれないわけです。思い出のものをトランクルームなどに預けると、思い出も薄らいでいくようです。

 

では、借りて家を建てる人はどうでしょう。そもそも、借地で家を建てるか?という疑問です。結論はイエスです。

 

近年の若い人たちは決して所有権にはこだわってはいなく、合理的に考えています。安価に家を建てられるのであれば飛びついてきます。安価といっても決して安い家ではなく、しっかりとした家です。単に土地購入費用がなく、相対的に安価だということです。

購入者側にも大きなメリットをもたらす定借

もともとニュータウンとして作られた住宅地ですから、インフラは整備されているし、学校、スーパー、公園等も整備されている。市内中心地の交通網もしっかりしている。ましてや、なんといっても土地が広いのが特徴です。家を建てて、駐車場も3台確保でき、それでも広い庭があり畑も作れる。休日には庭でバーベキューなども夢ではない。ひょっとしたらピザ窯なども……。

 

若くして家を建てると、子供たちも小さいから、楽しい生活が長く継続できるわけです。

 

もちろん借地といっても地代はかかります。しかし、現在の税制から見るとマイホームを建てるために住宅ローンを借りると、借入残高の1%の減税が受けられます。具体的にいうと2500万円の住宅ローンを組むと年間25万円の税金の還付が受けることができます。これが10年続きます。さらに土地の固定資産税は払う必要がなく、それらを計算するとほとんど地代はかからないことになるわけです。乱暴な言い方をすると10年間、タダで土地を借りたことと同じだといえるわけです。

 

さらには、将来余裕ができたら土地を買い上げることも可能かもしれません。定借で家を建てるということは、将来には現在あるような空き家問題は起きないのです。このように、これからの人たちは土地の所有権より、利用権を確保して自由な家を建て、将来に、つけを残さないという考え方に抵抗がないようです。

 

さらに、このような方法はどうでしょうか?空き家になっている建物を、土地と建物を分離する方法です。

 

土地は定借で賃貸して、建物だけ売買する方法です。建物は築30年以上経過しているので、例えば50万円とか100万円程度の売買です。購入した人は1000万円程度かけて大規模なリフォームをしてマイホームにするのです。建物は自分の所有だから自由にできるわけで、状態にもよりますが、それでもかなり安価に求めることができることになります。当然ローン返済も安く済み、今、入居しているマンションの家賃より少なくて済むかもしれませんから、購入者側には大きなメリットがあります。

 

さて築30年以上経過している建物は大丈夫だろうかという面もありますが、意外と骨組み(構造)はしっかりしているもので、リフォームの時に悪いところを修繕すれば、案外丈夫なものです。このような取引ができれば、所有者側も解体費負担がないから大きなメリットがあるわけです。

 

このように、所有権にこだわりすぎたり、所有権を身内に相続させることにこだわりすぎて、いつまでも空き家のままになっていては、結局「ババ」を引くことになりかねません。なにも身内に引き継がせるだけでなく、若い人たちへ引き継がせることが、うまく世代交代でき継続できる街になり、資産価値が継続でき、ひいては自分たちの資産が維持できることになります。

2級建築士
宅地建物取引主任者

北海道生まれ、岩手県盛岡市在住。
積水ハウス株式会社にて設計業務5年、営業35年の計40年勤務。累計販売棟数570棟。積水ハウス在籍時、「自分年金」の言葉とコンセプトを自ら作り、土地活用についてのセミナーを多数行う。
2006年に株式会社サムコーポレーションを設立。
現在は不動産活用プロデューサーとして、自分年金・定期借地権を活用した企画や、介護事業者とのマッチング、コンサルティング業務などを手がける。
また、自らアパートや介護施設のオーナーでもあり、豊富な経験談と実例を交えた講演会は、一般・業界向け問わず好評を博している。
著書には『自分流「自分年金」の実践法』(文芸社)がある。

著者紹介

連載土地の価値を高めるための「不動産加工」術

 

 

不動産を 「加工」する技術

不動産を 「加工」する技術

齋藤 正志

現代書林

著者は積水ハウスに入社し、「自分年金」という言葉を考案しました。 そして、「自分年金」をつくる方法としてアパート経営を推奨し、40年間で570棟のアパートを販売したという実績があります。 その後に独立し、いまは不動産…

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