前回に引きつづき、医師・患者間で「慢性疼痛治療」の治療目標を共有することの重要性を説明します。今回は、肩の治療に一緒に取り組む専門医の選び方も併せて見ていきましょう。

肩の治療は医師にも「知識と経験」が必要

前回の続きです。しかし、ケガや骨折、腰痛、膝痛などがなければ整形外科に行くことはありませんので、受診の頻度も低く、かかりつけ医を持つ人のほうが少ないわけです。

 

したがって、何か気になる症状が現れたときには、近所の整形外科クリニックを受診するようになると思います。その際、医師がどこまで診断し、医師の勘といいますか、「おかしい」と引っかかりを感じ、一つ上の検査を行ってくれるかどうかがポイントとなります。

 

それには、まず患者さんを観察し、また患者さんの話によく耳を傾けているかが一つの目安になるかと思います。

 

実は、患者さんが診察室に入ってきたところから診察は始まっています。部屋に入ってくるときの歩き方、立っているときや椅子に腰掛けたときの姿勢、話しているときのしぐさやクセ、カバンを手にしたときの動作など、患者さんの一つひとつの動きを医師は観察しています。

 

そして、肩が痛いと訴えた場合は、どのような動作をしたときに痛みが強く出るのかを確認しながら、患者さんの仕事や日常生活の様子を尋ねたりしています。例えば、引越しの仕事であれば重労働ですから肩への負担も大きいため、最初から腱板断裂も疑いながら治療を行っていきます。そのために、まずMRIを撮ります。

 

これが、もしも患者さんに何も尋ねず、肩が痛くて腕が上がらないという情報だけで、レントゲンを撮って異常がないから「五十肩ですね。痛み止めと湿布を出しておきます」で終わってしまったらどうなるでしょう。腱板断裂であったなら、治療を行っている間も断裂部が拡大してしまいます。

 

ですから、肩の治療には医師も知識と経験が必要だということです。

日本肩関節学会の代議員名簿を確認するのも手

現在はどこの医療機関も電子カルテで管理していますので、目の前に患者さんがいるというのに、医師はパソコンの画面ばかりを見て、患者さんの顔をろくに見もしないで診療しているケースが見受けられます。これでは正しい診断が下せません。

 

つまり、患者さんをよく観察していること、話をよく聞いていること、目を見て話していることが、医師に求められる最小限の条件ではないかと思います。

 

それを患者さんは念頭において、満足のいく治療が行われていないと感じたときには、肩の専門医に診てもらうと良いでしょう。

 

専門医といっても、現在は整形外科の細分化された中で専門医制度を持っているのは脊椎だけで、肩の専門医がいるわけではありません。ただ、日本肩関節学会があり、この学会に所属している医師、特に代議員であれば、肩に関する学術的な知識を持ち、正確な診断と効果的な治療法、また最新の情報などを身につけています。

 

したがって、肩のスペシャリストといえると思いますので、日本肩関節学会の代議員名簿をホームページで確認して受診するのも一つの目安になるかと思います。

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