前回は、経営コンサルティングで「資金繰り表」が重要視される理由を取り上げました。今回は、「税理士ならではの着眼点」で顧客に経営上の課題解決を提案する方法を見ていきます。

資金繰りに苦しんでいるなら、早急に原因を突き止める

前回の続きです。

 

現状分析を終えたら、財務的な状況が詳らかになってきます。そこから経営上の課題を見つけ、顧客に改善のポイントをわかりやすく伝えていきます。

 

たとえば、課題の優先順位として高いのは借入金です。借入の返済ができるかどうかというのを、今までの返済状況等から会計的に調べます。もし、現状あまりうまくいっていないとか、今後、売り上げが落ちてうまくいかなくなりそうだということであれば、どう解決するかという対策を考えて、アドバイスをしていかなければなりません。

 

特に、すでに資金繰りに苦しんでいる場合は、どこに原因があるのかを早急に突き止め、手を打つことが重要です。

 

売り上げが年々減ってきていることが問題なのか、売り上げは上がっているが経費も上がってきていることが問題なのか、それとも売り上げは伸びているのに売掛金の回収が焦げ付いていることが問題なのかなど、資金繰り悪化の根本原因を見つけなくてはなりません。

数字を説明しながら、圧縮すべき経費をアドバイス

下記の図表でいうと、生活費を使いすぎています。このくらいの所得額でいえば、明らかに使いすぎであることが税理士なら判断できるはずです。

 

この方は手残りがあると思って油断し、出費が多くなっていますから、きちんと資金繰り表を提示して数字の意味を理解させながら、「実際にはそんなに使ってはいけない」ということを諭し、具体的に生活費の中の何を減らしていくかというのをアドバイスしていきます。

 

[図表]キャッシュフロー計算表をつくる

 

こういった問題は、会計的な視点から見れば概ねわかってくるものです。税理士としての知識や経験が最も生かされる場面の一つです。私は「会計的に見て、こういうところに原因がありそうですので、こういう解決のしかたをしていきませんか」というようにアドバイスをするようにしています。すると、お客様から非常に喜ばれます。

 

数字は万国共通の、最大のコミュニケーションツールです。数字やデータで答えを示してあげると、相手は理解しやすいですし、説得力が断然違います。それをうまく利用することが、コンサルティングに大いに役立つのです。

「税理士」不要時代

「税理士」不要時代

渡邊 浩滋

幻冬舎メディアコンサルティング

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