前回は、知識がない業界の会社の「経営コンサルティング」をする方法を取り上げました。今回は、顧客の事業拡大を促す「経営コンサルティング」のポイントについて見ていきます。

事業の拡大・成長に結びつく具体策を複数提案

本連載の最後に、経営コンサルティングにおける大事なポイントを3点まとめておきます。

 

①経営コンサルでは、顧客にとっての事業成長・拡大を第一優先に考えていく

 

経営の現状分析から課題を見つけ、業績を上向きにしていくには何をすべきかを具体的に示していくことが大事です。

 

②事業の拡大・成長のための具体策をいくつか提案し、顧客がベストな一つを選べるようにする

 

経営は、顧客が主体となって行うべきものです。税理士は、あくまでもそれをサポートする立場でなくてはなりません。ですから、たとえば「売り上げを伸ばす新たなサービスを追加する」「未開拓地域に進出する」「競合他社との差別化をする」など、経営改善や事業拡大のために役立つ選択肢をわかりやすく提示し、その中から顧客が最善の方策を選べるように導いていくことが大事です。決してミスリードをしてはいけません。

 

③経営戦略を立てるには、業界に精通していることがベスト

 

経営戦略を立てるというのは、レベルの高いアクションです。ただし、精度の高いコンサルティングをしていくためには、その業界についての専門的な知識がなくてはなりません。つまり、自分の得意分野を追求し、専門特化していくことが大事になってきます。

専門性があれば、税理士としての価値は格段に上がる

正直言うと、このポイントをすべて満たしたコンサルティングというのは、得意分野を見つけないとハードルが高いものになります。この本をお読みの税理士の中には、「自分には得意分野がない」という人も多いことでしょう。しかし、最初は不得意な業界でも、勉強していくことで得意分野にしていくことは可能です。また、ある業種からの視点が別の業種に応用できたり、新たな発見をもたらしたりといった作用もあります。ですから、ただ一つの専門性だけを追求しなくてはならないというものでもありません。

 

とはいっても、専門性があることで税理士としての価値は格段に上がることは間違いありません。難しく考えることなく、自分が税理士として興味のあることを深めていけばよいわけで、それが結局は顧客目線を生み、真のコンサルティング能力を育てる原動力になります。

 

それでは、どのようにすれば税理士として専門特化ができるのか。具体的な業種の絞り方や特化のしかたについては、本書の第5章で詳しく見ていきましょう。

「税理士」不要時代

「税理士」不要時代

渡邊 浩滋

幻冬舎メディアコンサルティング

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