前回は、なぜ多くの税理士は「経営コンサル」をビジネスにしないのかを取り上げました。今回は、経営者の不安を的確にサポートできる、「税理士コンサル」の強みを見ていきます。

税理士なら「数字に基づいた経営コンサル」が可能

私が税理士に経営コンサルティングをお勧めするのは、税理士だけが〝数字に基づいた経営コンサルティング〞を行える能力を有していると考えるからです。これが他の経営コンサル業者に差をつける、大きなアドバンテージになります。

 

いわゆる「経営コンサルタント」という職業がありますが、彼らもひと通りの経営的アドバイスなどはできると思います。ただ、税理士資格を持たない経営コンサルタントができることというと、決算書を表面的に読んでアドバイスをすることくらいが限界ではないでしょうか。決算書から経費が多いとか、売り上げが減っているとかの特徴をつかむことはできると思いますが、細かなアドバイスをするのは難しいのではないかと思います。

「過去データの蓄積」という強みを持つ税理士

その点、税理士は違います。顧問として積み上げてきた過去データ(一つひとつの仕訳データ)の蓄積があるため、「なぜ経費が多いのか」の理由まで細かくわかります。

 

たとえば、複数ある経費の中のどの項目が増えたのか、いつ頃から増えたのか、なぜ増えたのかといったことです。すると、どうすればその経費を抑えられるのかという手立てが見えてきます。あるいは、経費で抑えるよりも別の方法で利益率を上げたほうが効率的だといった、ベター、ベストな対策を考えることも可能です。

 

これは、そもそもの情報量と数字を読み取る力が違うからです。税理士の資格試験や実務経験を通して、私たちはたくさんの情報の中から必要な数字・重要な数字を見つけて注目する能力や、その数字を改善するための対策を複数考えつく能力などを磨いてきました。だからこそ、数字を根拠とした説得力のあるアドバイスができるのです。これが、一般的な経営コンサル業者とは一線を画する、税理士ならではのコンサルティングの強みです。

 

多くの経営者が抱える経営上の悩みや不安、心細さなどに対して、税理士ほど的確にサポートできる存在はいません。ですから、ぜひ我々税理士のほうから顧客に「何か困っていることはありませんか?」「私にお手伝いができることがあったら言ってください」と声をかけ、積極的にコンサルティングをしていこうではありませんか。

 

我々の声かけ一つから、税理士と顧客との新しい関係が始まります。

「税理士」不要時代

「税理士」不要時代

渡邊 浩滋

幻冬舎メディアコンサルティング

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