ダイムラーが約5億ユーロの事業投資へ
「盤石」と評価の高いドイツ経済。首都ベルリンも、東西統一後、着実な経済成長を押し進めています。そんなベルリンで今、様々な大型投資が行われています。経済に相乗効果をもたらす投資例を、2回に分けて具体的にご紹介します。今回は、製造業とロジスティックに関する動きを見ていきましょう。
ドイツ自動車大手のダイムラー社が今年5月、ベルリン南郊テンペルホーフ=シェーネベルク区にある同社部品工場のハイテク化に、2018年までに総額約5億ユーロを投じるという方針を明らかにしました。ベルリン工場が設立されたのは1902年で、同社の現役工場としては最長の歴史を誇ります。最新技術を導入することにより、ベルリンの産業発展貢献へ大きな期待がかけられています。
ドイツ高級車大手BMWの二輪車部門、BMWモトラッドは今年4月、ベルリン西郊シュパンダウ区のハーゼルホルスト地区にある同社工場に隣接する4万平方メートルの土地に、二輪車用としては世界最大規模となるロジスティックセンター建設し、工場塗装部門の規模拡張には、1億ユーロを投じることを発表しました。2017年の完成予定です。同社は今年の11月、小気筒のバイクの生産を強化する方針を明らかにしており、新たなロジスティックセンターが、着実に拡大を続ける二輪車販売数を力強く後押しすることが予想されます。
主要研究分野の発展で見込まれる大規模な人口流入
欧州15カ国で1500点を超える洋服ブランドのオンラインストアを展開するZalandoは、2018年までに、ベルリン中心部に接するフリードリヒスハイン=クロイツベルク区に、新たな本社ビルを建設予定です。投資総額は公表されていませんが、延べ床面積は10万平方メートル、従業員5000人の収容が可能ということです。
ベルリンの南東部、トレプトウ=ケーペニック区にあるアドラースホーフ地区は、ドイツ国内で最も成功を収めるハイテク産業が集まっています。総合都市計画に基づいて開発された4.2平方キロメートルの敷地には、1001社の企業に加え、ドイツを代表する10の研究機関が居を構え、就業者は約1万6000人にのぼります。また、ベルリン・フンボルト大学の理数系6学部もキャンパスを設置し、6000人以上の学生が通っています。
これら企業の半数が集まるサイエンス・テクノロジーパークが核となり、太陽光発電・再生可能エネルギーやバイオテクノロジーなど、ドイツの主要な研究分野の開発が進められています。広大な敷地にはさらなる投資が見込まれており、企業だけでなく、今後数年の間に、およそ2500人が入居できる1400の学生用住居も建設予定です。
さらに、その規模と設備の良さでドイツ最大と言われるスタジオを擁するメディア・シティでは、人気の高いテレビ番組に加え、ラジオ放送や映画の収録・撮影・編集が数多く行われ、メディアの一大集積地ともなっています。