海外不動産の税金がどのような仕組みになっているか、不安に思う方は少なくありません。今回は、ベルリン不動産の取得時と保有時にかかってくる税金について見ていきます。

ドイツでは不動産の購入、所有、保有の3局面で課税

ドイツで不動産を買おうにも、税金なんてさっぱりわからないし、何か面倒そう・・・という方は、少なくないと思います。具体的な話は税理士に確認していただきたいと思いますが、ここで、税の考え方をおさらいしておきたいと思います。

 

 

まず、どの段階で税金がかかるのか? を見ていきましょう。

 

●不動産を購入する段階

不動産取得税(ベルリンは物件価格の6%)


●不動産を保有している段階  

  いわゆる固定資産税(ドイツでは名称が違います)物件価格の0.1~0.3%程度/年

 
●不動産を売却する段階

不動産譲渡益(所得税<分離課税>)

=不動産譲渡価格-不動産取得価格(購入金額+諸経費<仲介手数料など>)


※不動産譲渡価格と不動産取得価格は、譲渡した日、取得日のTTMにて計算

 

税金がかかるのは、この3つの段階です。日本の居住者である場合、国外所得は全て課税対象となり、税金は日本とドイツの2か所で課せられます。したがって、ドイツの不動産で得た所得であっても、国内不動産と同じように課税されます。ただし、ドイツの不動産を購入した時点では、日本国内における課税はありませんが、次の段階で税金がかかる可能性があります。

 

①購入した段階で、ドイツで課せられる税金

②保有している段階で、国内で課せられる税金・保有している段階で、ドイツで課せられる税金

③売却した段階で、国内で課せられる税金・売却した段階で、ドイツで課せられる税金

外国税額控除により「二重課税」の心配はなし

納税するには、日本とドイツの両方で税金を申告する必要があります。ドイツで申告し、かつ日本でも申告すると二重課税になると心配するかもしれませんが、この点については、心配は不要です。

 

海外で納税した場合、「外国税額控除」によって他国で納税した税額を一定金額を上限として、日本における所得税額から差し引けるからです。確定申告の際に、この計算で出ていた金額を明記して所得を控除することができます。

 

ドイツと日本の減価償却の違いや、その他の経費がどこまで認められるのかなどにより、国内とドイツの所得額は異なってきます。

 

例えばドイツでは、年間8,000ユーロ未満の収入に関しては税金はかかりません(年間8,000ユーロ以上の収入には、スライド制が適用されます)。また、減価償却期間が日本では築38年以上の中古物件だと、石造りレンガ造りは7年ですが、ドイツでは中古であっても50年になります。その結果、所得から諸経費を差し引くと、一方は黒字なのに、もう一方は赤字という現象が起こることがあります。この減価償却期間の違いから日本で赤字決算になることは少なくありません。

 

日本での赤字決算は、他の所得と通算できるため、節税に役立つといえますが、注意点もあります。減価償却金額は、売却した時に譲渡益に上乗せされます。いわゆる税の繰り延べです。それでも、5年以上所有物件の譲渡益の税率は20%の分離課税ですから、総合課税分が20%超の人なら節税効果が上がることになります。また、効果的なタイミングで資産の組み換えを行うことも可能だと思います。

 

これをパターン化して考えてみます。

 

①日本とドイツともに赤字・・・・・・納税はありません
②日本は黒字でドイツは赤字・・・・・・日本のみ納税
③日本は赤字でドイツは黒字・・・・・・ドイツのみ納税
④日本とドイツともに黒字・・・・・・両国で納税するが、ドイツでの納税額を日本で
控除できるので、結果的に総納税額はどちらか大きいほうの税額

 

両方とも黒字の場合、両国において税金を納める必要がありますが、前述したように二重課税されてしまう恐れがあるので、外国税額控除を行うことになります。具体的には、ドイツで納税したドイツの所得税を、日本国内で確定申告した所得税から差し引き、残った金額を3月15日までに納税します。

 

 

実際の確定申告では、ドイツ及び日本で海外事情に精通した税理士に申告作業を任せた方が良いでしょう。まずは投資家として、海外不動産の税金がどんな仕組みになっているかを理解しておいてください。

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